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えんぷつ 週観 道の果てから

2月26日

 この週末、名古屋方面まで行ってきました。
 目的は4月に廃止される名鉄のローカル線2線の訪問です。

  朝はゆっくり起きて、少し遅い目の新幹線で東京を出ます。
 豊橋で降りて東海道線を進み、蒲郡で名鉄に乗り換えます。そしてさらに30分ほど行ったところにあるのが吉良吉田。ここを起点とする三河線のうち、碧南までの区間が今回廃止対象の1つです。
 以前は電車が走っていましたが、合理化のために電気運転が廃止され、架線が外された下をディーゼルカーの単行が1時間おきに行ったり来たりしています。廃止まで1ヶ月以上もあるのに車内はファンや親子連れで満員の盛況。いつもこの状態なら廃止されることなどなかったのにね。
 沿線は田園風景が続きます。1箇所、バイパス道路を乗り越す立体交差があり、この前後は立派な高架になっています。それも最近切り替えられたようで新しいです。何だか非常にもったいない。

 碧南から連絡する電車で刈谷〜岡崎〜新豊田と回り、豊田市から名鉄三河線で3つ目の猿投(さなげ)に着きます。ここから先、西中金の区間も今回廃止されます。吉良吉田〜碧南間と同じく電気運転廃止でディーゼルカーが往復します。ここでも多数のファンやハイキング客が乗車していました。同じ三河線でもこちらは山深く、トンネルがあったりします。

終点、西中金にて。
山あいの小さな集落のそばに駅がある。
駅前を通る国道は車でよく混雑している。

 夜は友人と落ち合い、名古屋名物の手羽先煮込みや台湾ラーメンに舌鼓を打ちます。一緒に出された炒めものにぶつ切りの赤唐辛子がこれでもかとばかりにかけられ、しばらく口の中の感覚が麻痺していました。その友人宅にお邪魔し、酒盛りしながら語ります。

 翌日は2人で東海交通事業城北線、樽見鉄道線を回ります。同じ鉄道を趣味に持つ仲間、鉄話に結構花が咲きまくりです。
 樽見鉄道の終点、樽見まで行って、名物の「薄墨桜」が徒歩15分の場所にあると聞き、「これは近い」と立ち寄ることにしました。川をはさんで反対側の丘に、目指す薄墨桜はあります。
 まだ花芽すら出ていない冬ごもりの姿でしたが、樹齢1300年と伝えられる幹や枝ぶりは威風堂々としていて、公園内の他の桜の木を圧倒しています。加えて雪害防止用の雪吊り?が取り付けられ、桜満開のときとまた違った、非常に美しい姿です。
 広い園内にはほとんど人影はありません。まあ、園内各所に雪が残っているこの時期に行くのも物好きですが、春になればこれが一面の行楽客で埋め尽くされるのだろうなと、来たるその日を思い浮かべてみました。

薄墨桜をバックに記念撮影。

2月18日

 牛丼屋から牛丼が消えた日。

 例のアメリカ産牛肉の狂牛病騒ぎで、牛丼チェーン店から牛丼が姿を消しています。
 まあ、普段から牛丼をすすんで食っているたちではないので僕の日常生活に何ら支障はきたさないのですが、
(牛丼よりも新作カップラーメンの方が関心事。だったり)
 今まで普通に食べられたものが食べられなくなるのは、少しさみしいですね。
 でも、吉野家の牛丼最終日に行列ができたりするのは、それはどうかな、と考えたりします。
 たかが普通の牛丼を、30分も並んでまで食べたいか、と。
 廃止された東横線の切符のように日付が入って手元に残る訳でもないし、

 それで、牛丼の代わりとなるメニューはどうか。
 いくつかの吉野家に入って頼んでみます。
 新メニューにはいくつかありますが、このうちどの店でも共通で売られているのはカレー丼のみで、あとは選択必修科目?で1店舗2種類ずつを扱います。勤務先の新橋近辺にある3軒の吉野家では、1軒がマーボー丼と焼鳥丼、1軒はいくら鮭丼と豚キムチ丼、もう1軒はマーボーと豚キムチ、と分かれています。
 味の方はというと、正直なところいかにも間に合わせという感じで、感銘を受ける味わいではありません。カレー丼を食べるならば松屋のカレーライスの方を選びますね(笑)。
 ともあれどのチェーン店も何とかして営業を続けて行こうと、企画部門が必死になっている姿が想像できます。本当にご苦労様です。

 牛丼といえば子供の頃よく「キン肉マン」を見ていたのですが、その中で時々、
「牛丼一筋300年、早いのうまいのやっすいの〜 (カン!)
という歌が流れていました。
 そもそも徳川幕府の頃から牛丼なんてあったんかいな、と突っ込みを入れるところですが、うそであってもリズムに乗ると覚えてやがて忘れられなくなってしまうのが恐いです。今でも吉野家のオレンジの看板を見かけるたびに、この歌が頭の中に流れています。まるで牛丼カムバーック、と云っているように。


2月13日

 今週は、みなとみらい線の訪問記。

 開業初日に、早速乗りに出かけました。
 相互乗り入れをしている東急に敬意を表して、渋谷から東横線で向かいます。
 行き先は見慣れた「桜木町」から、新しい終点「元町・中華街」に変わっています。

 電車は通い慣れた東横線を横浜方面へ急ぎます。
 時々、見慣れぬ青っぽい色の電車とすれ違います。
 これはみなとみらい線を運営する横浜高速鉄道の所有車で、この日にデビューしたばかりの新車です。

 東白楽を出て間もなくトンネルに入ります。
 2日前まで使われていた旧高架線のすぐ真下に造られ、新線切替のときに高架線の仮桁はわずかな時間で取り払われたそうです。作業の手際良さに驚くばかりです。トンネルを下り込み、地下新駅となった反町を通過し、さらに深くもぐって横浜に到着。その深さはホームが地下5階、だそうですから、長い下り坂になるのもうなずけます。

 横浜で降りると、2日前よりさらにおびただしい数の人、人、人。数というより量ですね。
 券売機には行列ができ、自動改札も機能していない状態。容易に身動きも取れません。
 この日発売された横浜高速の記念パスネットカードは朝のうちにして全駅完売とのこと。残念。
 1階まで上ると、協賛各社による物販イベントがあり、こちらにも多くの人だかり。

 横浜から先は新規開業区間です。次の新高島まで遠くないので地上を歩いてみました。駅前はそごうの駐車場がある以外は何もありません。区画整理はされており、これから開発が始まろうとしています。
 ここで再び電車に乗ります。次はみなとみらい。ホームに降りて階段を見上げると、そこにはデパートとつながった巨大な吹き抜けが。フロアからは多くの人達がホームを見下ろしています。今まで日本の地下駅では見られなかったダイナミックな光景。横浜の新名所となりそうです。
 各駅とも混雑していてダイヤが混乱し、特急も各駅に停車しています。馬車道、日本大通りの両駅はトンネルの壁がレンガ調になっていて、ロマンを感じさせます。
 終点、元町・中華街もまた意欲的な造りで、エスカレーターのある部分が吹き抜けになっていて、まるでヨーロッパのドーム駅を思わせるスタイル。または大阪の地下鉄御堂筋線の駅辺りにも似ています。
 軒並み遅れてやってきた電車は、乗降客が入れ替わるや否や、すぐさま渋谷方面へきびすを返してゆきます。

 過ぎ行く過去を見送り、新しい未来を迎える。
 我々はここ横浜で、1つの世代交替を体験します。
 夢と希望を託されたみなとみらい線に栄光あれ!!

 ・写真をこちらに付けました。本文と合わせてご覧いただくと2倍楽しめるかも..。


2月6日

 この週末、東急東横線で、一大イベントがありました。
 横浜〜桜木町間の廃止と、みなとみらい線の新線開業です。

 桜木町方面が廃止となる30日は金曜日。会社帰りにそのまま直行します。
 京急回りで横浜へ行き、ここから桜木町まで歩きます。
 程なく高島町に着きます。視界に何やら黒くうごめくものが....
と思ったら何と、高架下で切符を買おうとする人の長い列!
 その長さは100メートルを超えていたでしょう。交差する国道を折れて、高架反対側の歩道橋まで続いていました。
 単に券売機で入場券?を買うだけですが、1月30日の日付を入れていつまでもとっておきたいという思いなのでしょう。
 こんなに列が長くては急いでいる人には迷惑をかけているので、係員が改札前で初乗り切符を手売りしていました。
 駅構内も今まで見たこともないほど人が集まっていて、少し異様な光景です。

 桜木町まで1キロほど。派手な落書きだらけの高架下歩道をひたすら歩くと、
 またしても行列の最後尾が見えてきました。ここでも切符を買おうとする人の列。
 券売機が何台も並んでいるターミナル、桜木町でも人をさばくのに苦労している様子です。

 パスネットカードで改札を抜けます。
 ホームにはロープが張られ、電車が入るたびに大勢の人がカメラや携帯を構えます。
 いかにもマニアという人は少なく、大半が会社帰りのサラリーマンやOL、女子高生といった普通の人達。
 いつも利用している路線がなくなる記念として、普通に記録に残しているのが印象的です。
 マニアが大挙するローカル線の廃止とは、明らかに雰囲気が違います。

 最終電車まで見送る気ははなからなかったので、帰宅できる最後の電車まで桜木町にいてその光景を見届けました。
 翌日、昼のニュースをつけると、そこには最終電車を見送るおびただしい人波が映っていました。
 そして最後に駅改札のシャッターが閉まるとき、
 「桜木町!! 桜木町!!」
 の大合唱が。
 思わず目頭が熱くなってきました。
 ニュース映像にこんなに感動したことは、今までなかったと思います。
 永遠の思い出として、残しておきたい瞬間でした。

 みなとみらい線開業のお話は、次の回で書きます。

 今回の写真はこちらで。

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