メゾン 道の果て

週観 道の果てから

5月31日

 住宅設備機器メーカーのショールームに行った話。
 この手のショールームは大きな地方単位、例えば関東地方では都内に1ヶ所しかないものかと思っていたら、意外と身近な場所に点在しているもので驚きです。
 今回訪問した大手衛生陶器メーカーT●T●のショールームも、越谷市の郊外という割合便利な場所にあります。妻の親類からこの場所を教えられ、最初は自分達だけで行くつもりでしたが、パートナーとなった住宅メーカーK社の営業さんにこの話をしたら、ぜひお供させてほしいということで、K社から予約を入れ、K社の営業車でショールームに向かいました。何だか住宅会社の人と1対3のデートしてるみたいな気分です。

 ショールームに着くと係の方が出迎え、早速館内を回りながら商品の説明を受けます。
 まずはバスルームのコーナーから。最近のバスルームも着実に進化が進んでいて、畳1枚分を使ったゆったり浴槽が標準になり、浴槽の材質も安いFRPから高級な大理石調まで、さらに長時間経っても湯が冷めにくい「魔法びん浴槽」や水はけが良く乾きやすい「ソフトカラリ床」、オプションでテレビや銀イオン洗浄や、洗濯機への残り湯汲み上げ機構が付くなど、至れり尽くせりの装備です。実家の風呂や、今のアパートの風呂とは全く別物といっていいほど進化を遂げています。説明員さんの言葉にただうなずくばかり。
 次に案内されたのはキッチンです。T●T●といえばトイレや洗面所のイメージが強いですが、ここは水回りに強い会社。キッチン設備も多く手がけています。しかも装備の点数が多く形も多様にあるので、ショールームで最もスペースを取っています。天井に提げて取り付けるキャビネットは電動で昇降して背の低い人でも取り出ししやすくなっていたり、レンジ上に取り付けるフードは油汚れをより掃除しやすくしていたり。K社の話ではキッチンは他社に比べて高いということでしたが、先進事例を見て勉強します。K社の営業さんもまだ2年生だからか、一生懸命ノートを取って勉強しています。
 一休みしてバスルームとキッチンの提案書を作成します。おすすめのバスルームやキッチンの仕様を選び、希望の色を選んでいくと、見積もりの入った提案書が、選んだ色のイメージ画像入りでプリントされて出てきます。一式で値段がどれくらいするのか、一目で確認できます。
 残り時間で洗面台とトイレを見て回ります。どちらもお家芸というべき商品ですが、地道なところで着実に進歩していて、水栓はレバー式が標準となり、もはや「蛇口をひねる」という表現をする場所がありません。便器も掃除がしやすいように形が手直しされ、ウォシュレットも新たな洗浄機能が追加されたり、自動で香りを放出したり音楽を流したりするオプションが付いています。実家の和式水洗トイレと比べると、時代の流れを強く感じます。
 数冊のカタログと提案書を渡されて、ショールームを後にします。駐車場脇には新しい家が1軒建っていましたが、外壁が茶色系2色を混ぜてランダムにコテ塗りしてあって、大変目に付きます。見ていて楽しいですが、ここまで派手に塗ると少々くどいようで、好みが分かれます。

 K社の見積書には他にもIN▲XとかYマハとかサン○ェーブの製品が含まれています。各会社の製品を比較して、最も標準的な装備で安い製品のあるメーカーを見積書に含めたということですが、他社の製品のオプションを見て、そっちに転がることもあるかもしれません。各社とも埼玉県南から東京都東部にショールームがあるので、休日ごとにデート(笑)してみたいなと思います。


5月27日

 この週末、住宅業者を決定しました。
 見積もりをお願いした4社の中で我々のパートナーとさせていただいたのは、首都圏を中心に木造住宅を展開しているK社でした。
 4社とも予算に対して好条件を示してきて、どれにするか迷いました。広い収納スペースや装備の自由度を提案してきたK社、半地下収納のP社、グレードの高い設備で住み心地の良さをアピールしたS社、業界一の高気密と全館床暖房のI社と、どれを選ぶか迷い、同居する3人(自分と妻と、妻の母親)で意見が分かれ、時にぶつかることもありました。地元で勢力の強いP社は、妻の姉夫婦がここで住宅を建てていてそのつながりがあったり、またS社も妻の親類で建築の実績があって、そのとき担当していた営業所長さんが打ち合わせに入ったりと人的な攻略もありました。終盤になると他社の実名を挙げて欠点や悪口を言ったり、足の引っ張り合いになるような部分も見えてきましたが。ネットで噂されていた書き込みは多少事実なんだなあと思いました(笑)。
 その中で決め手となったのは、本当にわずかなことだったのですが、K社が隣地との境界線問題に入って解決していただいた経緯があり、また法律問題にも詳しく、他社よりも信頼を感じた点だったと思います。ここまでしていただいた業者をむげにお断りする訳にいかないなあと考えましたので。他社からは今後の経営方針や財務状態にやや難ありなどと吹き込まれましたが、僕の出身地、蓮田近辺では昔からK社の分譲住宅が広がり、K社の看板を見て育っているので、これだけたくさんの住宅を建ててたくさんのお客様がいる会社が、お客様を裏切るような経営は許されないのが今の風潮ですし、ここは期待と信頼を込めて選定した次第です。
 他の3社の営業担当には、それぞれお断りの連絡を、今まで対応していただいた感謝の気持ちを込めてさせていただきました。I社の営業さんだけは、再々度(3回目)作り直しするのでもう1週間だけ待ってほしいと2時間も食い下がられ、断るのにも苦労しましたが(笑)。

 2ヶ月余りに渡った住宅会社選びを通して得た経験と反省をもとに、今後注文住宅を考えている人にアドバイスすると、
(1)事前の情報収集は入念に。
 モデルハウス巡りをする前にまず、ネットや住宅情報誌などで情報を入手して勉強しましょう。最低でも木造・鉄骨・コンクリートのどれに住みたいかくらいは決めましょう。木造はメーカーの数も多いので、ターゲットを絞り込む必要もあるでしょう。この場合、メーカーが何をキーワードにして売り込んでいるか、例えばある会社は構造の強さ(一層優れた耐震性能)だったり、ある会社は高品質な材料(檜やヒバの心材)だったり、ある会社は断熱性能だったり、またある会社は価格(坪単価の安さ)だったりします。ネット掲示板の書き込み(裏評判)もある程度参考にして、訪問したいメーカーを選びましょう。下調べを十分にしないままモデルハウス巡りに入ると、回った先々で熱烈な営業攻勢に巻かれて次回の予定を次々入れられ、思い通りの行動ができにくくなります(僕の経験上)。
 埼玉県の場合は県民共済住宅が品質でも価格帯でも1つの基準になると思います。県民共済の装備、または価格で物足りなさを感じたときに、初めて住宅メーカーの出番になるのかなと思っています。
(2)複数の会社で見積を取り比較する。
 県民共済のように価格の基準が明確な公的機関だけに依頼する場合はともかく、一般の住宅メーカーに依頼するときは必ず複数、できれば3〜4社に図面と見積もりを依頼しましょう。依頼するときに、「他に○○社と△△社にもお願いしています」と伝えれば、担当営業さんも他社を意識して、より意欲的な設計や装備を出したり、または対抗値引きしてくれたりします。1社のみだと競争原理が働かず、高い価格のままで契約することになる可能性もあります。
(3)住宅メーカーのイベントを活用する。
 担当営業さんが建築現場や完成宅、工場の見学を案内してくれることがあります。この機会は逃がさず活用しましょう。S社やI社は営業車で建築現場を回って、柱の建て方から配管、断熱材、釘の打ち方やシロアリ対策まで1つ1つ説明してくれました。完成宅訪問ですが、モデルハウスでは各社の最も豪華な、見栄えのする仕様で建てているのが普通なので生活感が見えてこないものです。これに対し実際に住まわれている住宅を拝見することで、どのように間取りをしているか、物をどのように置いているかを確かめ、そして住人さんに聞きたいことを質問することもでき、これらは自分達の家造りの参考になります。

 あとは各社の見積もりを並べて、値段や装備・サービスを公正な立場で見極め、住む家族でよく話し合って決めましょう。
 また他社にはないとか、他社の欠点をあげつらうようなセールストークに惑わされないようにしましょう。見積もり内容をよく見ると他社でも同等の装備を付けている、ということもありますし、事実無根の誹謗中傷も多いです。くれぐれも中立の立場を忘れず冷静に判断しましょう。

 業者の決定と契約が終わりではなく、住宅づくりはここからがスタートです。これからしばらくの間、週末ごとに設計の打ち合わせが入ります。家族で、そして担当営業さんともよくコミュニケーションを取って、思い通りのマイホームが建てられるよう努力してゆきます。


5月21日

 住宅展示場回りを始めてから2ヶ月半。
 ここにきて見積もりを依頼している4つの住宅メーカーからの図面と見積書がようやく出そろいました。
 1社は少々高い目の金額が提示されましたが、他の3社は予算を少し上回った程度で、金額面では満足できそうです。見積もりが最も遅かったI社が、高級装備に対してかなりリーズナブルな金額を提示してきて、心がかなり揺らいでいます。
 あとは金額に対してどのような内容が盛り込まれているか。各社とも同じ木造ながら少しずつ装備の違いに特徴が見られます。それは地下室だったり、広い収納スペースだったり、高断熱性能+全館床暖房だったり。どれを取っても魅力いっぱいです。
 いずれにしても、かなり迷っています。しかし営業さんの値引き工作や説得工作や圧力に屈しないよう、身内でよく話し合って決めていきます。

 で、僕達夫婦が、どんな家を建てたいか。その夢を描いてみます。
 ことの発端は、1月の退職まで車通勤をしていた妻が、通勤ルート脇の展示場にあったI社のモデルハウスを見て、
 「こんなレンガ作りの洋館のような家に住みたい」
 と言い出したところからでした。
 そんな彼女の夢をかなえてあげようと、モデルハウスを回ったり、またドライブしながら新興住宅地に建っている家々の実例をいくつも見せたりしているうちに、想いのベクトルは1つに向かってゆきました。
 それは外からでも目に付き、思わず立ち寄りたくなるような家。
 自宅に居ながらにしてリゾートのような気分で過ごせる家。
 友達を呼んでパーティーを開きたくなるような家。

 最近、南欧風の住宅をあちこちで見かけるようになりました。
 外観は明るい色調のモルタル塗り壁に、赤茶色や黄色やクリームを取り混ぜた明るい色調の瓦屋根に、白い窓枠。柱や壁の一部にワンポイントでレンガや石を積み、玄関にはおしゃれなランプを。そして狭い庭に芝生を敷き、花や木を、そして家族を愛でる生活。こうして書くと、何だかかつて流行した「あなた」という曲みたいですね(笑)。
 子供の頃にテレビアニメで見た洋風の建物での生活に憧れている人も多いのではないでしょうか。僕達夫婦も、そんな憧れを語り合っているうちに、次第に南欧風の造りにしよう、と2人の想いがまとまりました。
 その一方で山小屋のような生活、木をいっぱい使った部屋で過ごすのも僕の夢でした。こちらは内装でその夢をかなえることにしました。3階に小屋裏部屋を造り、壁から天井から床まで全て板張りにして、360度木の中で過ごせる空間。男の子が夢見る、秘密基地のような場所。まあ子供ができて成長したら、いずれその場所は子供に明け渡すことになりそうですが(笑)。
 さらに妻の母親もこの家に同居するので、1階にそのスペースを確保します。台所も妻が使う主キッチンと、母親が使うサブキッチンと2つ設けることにしました。浴室は2世帯共同で1ヶ所としています。
 土地の広さを打ち合わせの席で伝えると、想いがだんだん図面という形になって洗練された表現になってきます。夢がさらにふくらむ一方で、こんな生活が現実のものになるのか、夢がなくなってしまうなあ、という思いもあったりします。特に予算とかスケジュールとか現実の話をしてしまうと..。


5月13日

 大型連休も過ぎてしまいましたが、この休みはどう過ごされたでしょうか。
 僕はといえば、やはり住宅メーカーの対応で連休をつぶされた感じです。泊まりがけの旅行もできなかったし。
 1日を友人と飲み会、そして別の1日を、妻と2人でドライブに行ってきました。

 とはいっても行き先は本当に近場で、群馬県の館林です。
 今の時期はちょうどお花の見頃。花と緑を楽しみたい、と思いついての近距離ドライブでしたが..。

 高速に乗って館林のインターで降ります。
 目的地をつつじが岡公園と決め、ここに向けて車を走らせますが、入口へのアプローチは大方の予想通りの渋滞。
そこで、つつじが岡公園を後回しにして、先に茂林寺に立ち寄ることにしました。ここならお寺だし混んでもいないだろうと。確かにお寺の駐車場はすいていて、待たずに入れました。しかし、連休の混雑に乗じてちゃっかり駐車料金を取っているとは!!1回500円。都内や埼玉のコインパークよりは安いですが、うーん。

 茂林寺は童話にも出てくる「分福茶釜」ゆかりの地で、境内には大きな狸の像が2列にずらりと並んで向き合っています。あるものは立ったり、また座ったり、一体一体違った表情のその姿は大変ユーモラスです。

 参道には数軒のお土産屋が軒を並べていますが、どの店も、狸の置物で店内が埋め尽くされています。以前1人で訪れた信楽の街を思い出してしまいました。
 門前から先に抜ける道を進むと、自然豊かな沼地を通って「野鳥の森自然公園」に着きます。
 公園内のフラワーガーデンは一面に芝桜が植えられていて、赤や白の花じゅうたんが展開されています。ただ芝桜も盛りは過ぎたようで勢いがありません。入園料が500円から400円に下がっていたのはそのせいだったのか。

 野鳥の森自然公園からつつじが岡公園にシャトルバスが出ているというのでこれに飛び乗りました。片道200円。20分間隔で運行されています。つつじが岡公園に入場待ちをする長い車列を横目に走り、所要約20分弱で公園外れのバス折り返し場に着きます。
 あいにくここで雨が降り始めました。すると、散策していた大勢の人達が一斉にバスに向かって走っていくではありませんか。やがて駐車場からは車が続々と出始め、入場待ち渋滞も一挙に解消されました。ほんの一雨でここまでいなくなるとは。
 傘を差しながらの園内散歩となりましたが、人が少なくてつつじの花をじっくり観察できます。こちらも旬を過ぎたのか、花が散りかけた株が多かったのが残念です。4月のうちに行っておけば良かったのかも。

 ネットで「5000匹のこいのぼりが泳ぐ」というのを見つけ、どれだけ雄大な姿が見られるのだろうと期待して、園内にある鶴生田川に足を運びました。しかし、川の上に並べられたこいのぼり群は団地サイズの小さなものばかりで正直がっかり。風もなく、小雨の中だらりとぶらさがっている独特の光景。

 一回りしているうちに夕方になってしまいました。天気が良ければ太田まで足を延ばして山登りといきたかったのですが、雨と肌寒さで早めに切り上げることにしました。あっけない連休の思い出。


5月6日

 3月30日に開業した都営新交通 日暮里・舎人ライナー線に初めて乗ってきました。

 草加市に住んでいるので、アプローチは草加駅からバスに乗り、終点の見沼代親水公園駅からの方が便利です。
 バス路線は今回の日暮里・舎人ライナー線開業に合わせて新設された系統です。東武バスが運行していますが、車両は普通の路線バス用のではなく、「日野ポンチョ」という、マイクロバスを一回り大きくしたような車種が使われています。低床ノンステップで乗り降りがしやすいです。
 いざ走り出すと、最初の内は普通に幹線道路を走っていますが、途中から新興住宅地に入り込み、センターラインのない細い路地を割り込むようにくねくね走ります。こんなところに路線バスが走るのか!?と思うような生活道路。日野ポンチョを新車で導入した理由がここで分かりました。
 20分で見沼代親水公園駅に到着します。県境となる川を渡り、東京都足立区に入ってすぐに舎人ライナー線の高架の終端が建っています。駅前は思いのほか広く、ロータリーが整備されています(下写真)。

 ここで大学時代の後輩と待ち合わせ。彼は実家がこの舎人ライナー線沿線にあり、現役時代は東武伊勢崎線を使っていました。現在は千葉県内で一人暮らしをしていて、前日実家に帰るのに初めてこの路線を利用したそうです。
 駅は自動改札、ホームドアと、新交通ではありきたりの光景が見られます。乗客の数は各車両とも数人ずつと、結構乗っています。
 運転士も車掌もいない全自動運転で、展望席は子供達の人気の場所です。
 程なくして電車は動き出します。この先日暮里まで、ひたすらまっすぐ南へ向かって走るルートです。
 とにかく眺望が素晴らしい!!右に左に、眼下はびっしりと埋め尽くされた住宅。そして遠くに西新井のショッピングセンターや高速道の高架を望みます。次の舎人を過ぎると、東側に緑地帯が広がります。そして西側には競技場が。これが「舎人公園」です。後輩の話では、計画は20年前以上からあり、完成するまでに相当時間がかかり、先年ようやくオープンしたばかりとのこと。この舎人ライナー線と境遇を共にしているようです。
 舎人公園からはマンションが目立つようになり、住宅の密集度も上がります。扇大橋を出ると、この路線最大のビューポイント、荒川を渡る区間です。この部分はひときわ高い位置を走っていて、遠くの高層ビルまでが見渡せ、2人そろって感激。
 川を渡り終えると荒川区に入ります。沿線の主役は住宅からビルに代わり、西日暮里からのラスト一区間はビル群の谷間を突き進みます。そして右に急カーブを切って、起点の日暮里駅に到着です。

日暮里にて。改札口からこのように停車中の写真が撮れます。
車両の形式名は300系。前面に書かれているのは編成番号で第5編成を示し、5両編成の号車番号と組み合わせて車両番号は「305-1〜305-5」となります。

 日暮里駅もライナー線開通で大きく変わったようで、新しいマンションやショッピングモールでイメージが一新されています。京成本線の駅構内も大改造が進められていて、あと3年もするとまた大きく姿形を変えることでしょう。
 ちなみにこの後は大学時代の仲間数人で集まり、都内某所で同窓会となりました。卒業して15年行っていなかった部室棟に入って、左翼系のビラや落書きがすっかりきれいになくなっていて驚いたり、大学時代行きつけの飲み屋で語ったりしてまた絆を強めました。

BACK道の果て バックナンバーへ
TOPトップへ戻る