メゾン 道の果て

4月29日

 大型連休がやってきました。とはいうものの家庭の事情もあり、自宅近辺でおとなしく過ごすことになりそうです。
海外旅行に出かける同僚がちょっぴりうらやましいです。

 会社の喫煙ルーム統合が3月から実施されています。
 今まではオフィスの各階にあった喫煙コーナーを、高層階グループの1ヶ所に集約しました。
 僕が働いている低層階グループでは喫煙スペースが完全になくなり、エレベーターを2回も乗り継いで高層階グループに行くか、1階屋外に出なければなりません。エレベーター2回乗り継ぎはさすがに面倒なようで、ほとんどが屋外で喫煙しています。
 屋外の喫煙場所を観察すると、統合前は10数人程度だった喫煙者の数が、今では常に50人いるような盛況ぶりです。外はまだ寒かったり、時々雨風を受けたりしていますが、それでもたばこをやめられない人は多いようです。
 10年前は全フロアが喫煙可能だったのが、各階2ヶ所の喫煙ルーム以外禁煙となり、やがて各階とも1ヶ所に集約され、そして今回の大集約。オフィスの空気は格段にきれいになりましたが、愛煙家にとってはどんどん肩身が狭くなります。

 喫煙コーナーの跡地は会議室に改造する予定です。ところが業者が入ってリフレッシュ工事はされたものの、たばこのにおいやヤニの色は喫煙室に相当しみついていて、いまだに空気入れ換え中の張り紙が出され、会議室の運用が始められていません。
 当社は会議をするのが好きな人種が多いようで、各フロアーに8ヶ所もある予約制会議室は常にフル稼働。3週間前にはほとんど予約で埋まっているのが実態です。直前になって重要な打ち合わせが発生しても、会議する場所がなくて困った経験は数知れません。
 各階の喫煙コーナーを会議室にするだけでも、予約難の状況が相当緩和できるはずですが、たばこのにおいのする部屋で会議したくない人達もまた多いようで、実現は鋭意先延ばし中です。
 とりあえず机と椅子だけ置いて予約難民の仮打ち合わせ場所にしておけば良いと思うのですが。使うか使わないかはあなた次第、ということで。
 さらに以前各階2ヶ所時代の旧喫煙スペースはどうなっているかというと、倉庫になっていたり、使わずに閉鎖されていたり、これこそもったいないと思います。総務担当さん、考えといてくださいな。


4月21日

 真夏に向けた節電の話。

 4月に入って東京電力管内の供給能力が最大4150万kwまで回復し、暖房需要がなくなってきたこともあって停電することなく安定した電力供給が続いています。
 とはいっても本格的な夏を迎える7月には、再び電力需要が増加することは確実です。夏場こそ節電しないとまたも停電の危機を迎えます。
 政府は企業など大口需要家に対して25%の節電要請を始めています。
 我が会社でも当然その要請に応えなくてはなりません。既に事務所内では窓付近の消灯、昼休み時間中の一斉消灯、冷蔵庫や一部自動販売機等の停止など、考えつくところから実行を始めていますが、これで25%の目標達成にはほど遠いような気がします。
 都内の別の事業所では効果をさらに上げるべく、朝夕の出退勤時間帯以外はエレベーターを停止させているそうです。その事業所は最大でも7階までなので、階段での上り下りは難しくないはず、とのことで。またフロアの集約化を進め、各階に分散していたゆとり空間を廃止してそこに人を集約し、1フロア全体を空けて空調を止める、ということもしています。
 さらに一歩踏み込んで、サーバーの地方移転も検討課題に挙がっています。それ自体電力を多く消費するサーバー本体のみならず、室温を一定に保つための空調にもまた電力を使います。そこでサーバーを東電・東北電管轄外の地方に移転すればこれらの問題は解決するはず。ところが現実には移転や現地調整に必要な運送業者や工事業者が震災復旧対応でみんな出払ってしまい、確保が難しいとのこと。なかなか一筋縄でいかないようです。

 最近になって、地下鉄の車輌で一部の蛍光灯を外すようになりました。とはいっても全体の2割も外していないので明るさはほとんど変わっていません。もっと外してくれた方が効果的、とも思えますが、電車は動かす方が圧倒的に電力を消費するので、それに比べたら蛍光灯の1割2割くらい微々たる変化に過ぎないのでしょう。むしろ広告が場所によって暗くなるので、広告主からお叱りを受けるかも。

 家庭では、以前から別の理由で(毎月の電気代の支払いをできるだけ少なくする)節電を心がけていました。使っていない部屋の電気、テレビはこまめに消しています。給湯システムや温水洗浄便座も使うときだけスイッチを入れる。少しでも他の部屋の電気を付けておくと妻に注意されるような環境では、これ以上どうやったら節電できるのか、という極限まで来ています。夏場、昼間の冷房は基本的に使っていないし。東京電力さん、電気をケチって模範的生活を送っている我が家をどうかほめてやってください(笑)。


4月13日

 震災から1ヶ月が経過しました。
 1ヶ月経過した今でも連日のように余震が続いています。毎日どこかで必ず緊急地震速報が鳴っている状態ですから、今回の地震の規模が半端でないことを感じます。

 今回は会社業務から見た震災対応の様子を書きます。
 当社は福島県や岩手県に関連会社の工場があり、ここでパソコンや内部部品を製造しています。
 これらの工場も被災しラインが停止しましたが、各工場の皆さんの努力の甲斐あって、3月下旬から順次製造を再開し、月末までに100%の生産能力を回復したそうです。
 3月は年度末の受注集中でただでさえラインがフル稼働して、製造現場の人達は必死の思いで働いているのに、そこへ今回の震災ですから、さぞかし大変な事態だったことだろうと思います。
 もちろんこれらの工場でつくられた製品は、3月末納品を約束できず、その多くを次年度納期に延伸することになりました。
 これに物流の混乱も加わり、納期遅延も多く発生しています。お客様都合のキャンセルもまた多く発生しました。
 営業担当者や事務担当者もこれらの対応に追われ、さらに計画停電で強制退社させられたり、少ない時間の中でかなり振り回されました。本当にお疲れ様です。

 そのような中、我々の部門の一業務として以前から取り組んできた「営業事務処理ルールの全国統一化」が、今回の震災対応で役に立ったという話を聞きました。従来は各地区でそれぞれ独自の事務処理ルールを作って運用していたものを、内部統制強化に向けて全国統一基準での運用に取り組みました。各地区それぞれが独自の文化を持っていて調整に手間をかけましたが、上層部が話し合いを進めながらじっくり時間をかけて着実に標準化ルールの導入を進めました。その結果、ある地区に事務処理が集中して多忙な場合でも他の地区担当がすぐに応援できるようになり、負荷の分散化によって事務処理効率やスピードの向上に大変効果を上げました。そして今回の震災でも、東北地区の作業を他の地区が遠隔で代行し、現場から助かったという声が上がったそうです。

 3月末の営業部門実績数値の速報ですが、想像していたほどは悪化しておらず、むしろ震災前の計画値に近い実績を残すことができました。さすがに東北地域は影響が出ましたが、それをカバーできたのは現場の努力と、全体最適の考え方(標準化,マニュアル化)の両方があったからこそと思います。そして何をしたら相手に喜ばれるかを考えることと。こうした我々の仕事の取り組み方が間違っていなかったことが確証され、これを信念として引き続き会社に働きかけてゆきます。


4月4日

 震災から3週間経過した現在の生活の様子です。

・計画停電と鉄道の運行
 3月も下旬となると寒い日々ともようやくお別れです。暖房用の電力需要も少なくなったおかげで、28日(月)に一部地域で実施されたのを最後に計画停電は行なわれていません。このまま暖かい日が続いてほしいものです。とはいえ桜が咲いてから雪が降るなんてこともありましたから..
 最寄りの鉄道路線(ご想像の通り東武伊勢崎線ですが)は、先週から日比谷線との直通運転が復活し、北千住の階段規制も解消されました。とはいえ休日ダイヤなので混雑はまだ激しく、積み残しに遭って遅刻することもありました。4月に入って2日(土)からは半蔵門線との直通も復活、そして本日4日からは平日ダイヤとなり、特急の多くが運休していることを除けばほぼ元通りに戻りました。いつもの時間の電車に乗り、時間通りに会社に着けることのありがたさを感じます。
 震災で被害を受けた路線も着実に復旧しつつあります。常磐線も土浦から勝田まで開通し、4月中には東北線や東北新幹線も全線で再開する見込みと伝えられています。

・商店
 前回、放射能騒ぎでミネラルウォーターがなくなりつつあると書きましたが、1週間たっても相変わらずの品薄状態で、店によっては乳幼児がいる世帯優先など購入に条件を付けるところも出てきました。
 同様の理由で福島や茨城県産の野菜類が大きく値崩れしています。妻の話によると、レタスが1個30円。普段の相場が100〜200円だそうなので恐ろしく安い値段です。もちろん放射能とは直接関係のない場所で生産された野菜ですが、それでも敬遠する人が少なくないようです。風評被害とは恐ろしいものですね。
 納豆やヨーグルトの品薄状態も続いています。報道によると、震災で茨城や福島の工場が操業停止し、生産が再開しても今度は容器などの調達が滞って製品を出荷できないとのことらしいです。なぜに納豆の入っている棚が空っぽに、と思いましたが、これを聞いて納得。
 電器店では単3や単4の電池が再入荷して並ぶようになりました。ただ単1や単2は品切れ状態が続き、単3を単2や単1で使用できるようにする変換ケースも完売しています。
 雑誌類も製紙工場が津波被害を受けた影響で紙が不足し、一部で発行を延期したりしているそうです。少年ジャンプも先週は1回休みとなりました。
 ネットにアップされた写真ではその製紙工場はすさまじい状態になっていて、ヤードに留置してあったおびただしい数のコンテナー貨車が押し流され、構内至る所で転覆して、水に浸かったロール紙共々残骸の山となっています。貨車ファンならずともショッキングな光景です。

・テレビ放送
 春の改編期に入り2時間スペシャル番組が続き、震災から3週間にしてこちらも元通りに戻った感がします。野球やサッカーなどのスポーツも、チャリティー試合という形式で放送が始まりました。
 ただ毎朝見ているNHKのニュースは、内容が大幅に変更され現在もそのままとなっています。話題の新製品,新サービスを紹介する「まちかど情報室」や娯楽のコーナーなどは軒並み休止となり、天気予報などの時間もずらされ、これだけでも1日のリズムが狂ってしまいます。構成が元通りになるのはいつの日になることか。その日が、震災から立ち直った日といえるのかもしれません。

BACK道の果て バックナンバーへ
TOPトップへ戻る