メゾン 道の果て

5月27日

 21日は金環日食の日です。
 一生に一度見られるか、という天体ショーは、ぜひこの目で見ておきたい。曇りと伝える天気予報を気にしながら当日を待ちます。
 当日朝、自宅周辺の天気は薄い雲間から光が差し込む絶妙な観測条件でした。
 日食が起こる時間帯はちょうど会社に出勤する時間と重なります。家を出るときには半分くらい欠けた状態で、辺りは微妙に薄暗くなってきています。何だかサングラスをかけて景色を見ているような感じ。
 電車の窓から外を見ると、高層住宅のベランダから多くの人達が日食観察をしています。
 7:30過ぎ、金環状態となる時間帯には、北千住の高架ホームにいました。
 ひっきりなしに電車が発着する合間を縫って、観察用グラスをかけて空を眺める人。スマートフォンで写真を撮ろうとする人。
 太陽は丸く、一見普段と変わらないようですが、確かに真ん中が黒く抜け落ちて金環状態になっているのが分かります。

 日食観察には専用のグラスを使って見るのが今の常識となっていますが、僕はというと、
 「ネガフィルム」
 をかざし、これを通して見ていました。
 中学校時代に教わった日食観察の方法です。デジカメが普及する以前に撮影された写真のネガが実家に大量に保管されています。整理がてらそのうちの1本を持ち歩きました。さすがに今の時代にネガフィルムをかざしている人は他に見かけなかったようです(笑)。

 一部で雲が厚くなって観測できなかった地域があったのはお気の毒ですが、全国の多くの地域で日食を見ることができたのは、天候が味方してくれたのでしょう。まさしく幸運だと天に感謝します。
 翌22日、東京スカイツリーのグランドオープンはあいにくの雨天で、前日の日食で運を使い果たしてしまったのかもしれませんね。当日の予約が当たった方には残念な結果でしたが、それでも「初日に行くことに意義がある」という点では目的が達成できたのでは、と思います。


5月20日

 先週月曜日から、勤務先が虎ノ門に変わりました。
 本社業務の拡大に伴い新橋・汐留のスペースが手狭になったので、一部の部門が周辺に追い出された、というのが実態です。自分が所属している部門も、組織ごと虎ノ門に移転となりました。
 移転前、大型連休直後の1週間は月次集計業務と内部引き継ぎが重なり大変多忙で、ほとんど引っ越しの手伝いもできない状態のままに自分の全荷物を30分で箱詰め梱包する慌ただしさでした。本来移転前にするべき不要書類の整理とかは移転後にしようと、何も考えずに段ボールに放り込んでおきましたが、移転後も時間が取れずにほぼそのままになっています。

 新しい勤務先は駅から少し離れた場所にあります。周辺を丘に囲まれ、通勤ルートによっては急な坂を上り下りしなければなりません。
 近くには名門ホテルや大病院、そして官公需の機関がいくつもありますが、全般的には新橋の喧噪から離れた閑静な地区という印象です。多く見られるのは中小企業が入居する多数の雑居ビル。そして個性的な飲食店。昼休みの時間になると各店舗で弁当を作って街頭販売を始めます。開拓のしがいがあると同僚は言っています。それからコンビニも非常に多く目に付きます。数歩歩いただけで右に左に数軒の看板が、という状態で、まさにコンビニ銀座です。深夜も営業しているカレー屋や牛丼・うどん店もあり、帰りが遅くなっても食にありつけなくなる心配はさしあたってありません。
 その一方で見かけないのがパン屋さん。勤務先周辺になく、ネットの地図検索で見ても相当の距離を歩かなければなりません。書店も片道5分以上の場所となり、やや不便に感じます。
 そんなロケーションにある新勤務先ですが、徒歩でアクセス可能な駅が虎ノ門以外にも神谷町、国会議事堂前・溜池山王、内幸町などいくつかあり、その気になれば六本木方面からも歩くことができます。帰りに六本木の繁華街に立ち寄って、という人も出てくるでしょうか。

 通勤経路は従来の日比谷線利用ルートの延伸です。虎ノ門だと銀座線への乗り換えが1回必要となりますが、霞ヶ関で降りれば自宅から乗り換えなしで通勤することができます。その代わり信号待ちを入れて3分ほど余計に歩きます。雨の日に傘を差して長時間歩かなければならない不便さはありますが、そこは自宅周辺と一緒と割り切り、健康のためにも歩く距離を稼いでいます。
 内部事情により最初の1週間は従来通りの8:20出勤でしたが、明日からは8:40に繰り下げとなり、通勤が少し楽になります。あと5分遅く家を出て、ゆとりを持って通勤できる歓び。


5月15日

 近所の歩道の一角。赤い実を鈴なりに付けた木が立っています。
 この木はさくらんぼの実を付ける桜の木。
 3月下旬に、他の桜よりも早く花を咲かせ、5月になると実を付ける。初夏の風物詩です。 

 実の大きさは1cmにも満たず、お店で売っているさくらんぼと比べると非常に小粒です。小粒過ぎて売り物にもなりません。
 しかし小粒とはいえ、立派なさくらんぼです。
 赤く熟した実を、手を伸ばして1粒取り口にほおばると、その食感とほどよい甘み酸味が広がります。

 そんな小粒な実を数え切れないほど(数千粒単位か?)付けている姿は実に壮観です。
 休憩用のベンチもある憩いの広場的な場所にあり、多くの人達がその脇を行き交いますが、遠慮して誰も取ろうとしないようで、毎年そのほとんどが食べられることなく落果、または鳥のえさと化してしまいます。

 昨日の夜、改めてここを通りかかると、1本の枝に
 「ご自由にお取り下さい」
 と書かれた紙札がぶら下がっていました。
 さすがにもったいないと感じたか、近所の人が書いて下げたようです。
 とはいえ、数千粒という大量の実をすべて収穫するのは困難です。はしごも必要ですし。
 いくつかは持って帰るとしても、残りは花と一緒で眺めて楽しむのが風流なんでしょうね。

 ....でもやっぱり公園で自由に収穫できる果実の木には憧れるもの。小さくてもそんな街に住めて良かったと思います。


5月6日

 昨日、日帰りで会津方面にドライブに出かけました。
 自宅を10:00前に出発。途中事故渋滞に引っかかりながらも、おおむね順調に流れて14時過ぎには猪苗代インターに到着します。

 まずは猪苗代湖へ。
 水は神秘的なほど透明で、濁った水の川しか日常では見たことがない都会の人にとってはただ驚きです。
 背後には残雪をかぶった磐梯山が。この時期ならではの美しい姿です。

 R49を会津盆地に向けて下って行くと、前方左手に白い巨大な観音像を発見。一体何だろう。
 吸い寄せられるように、その現場へと車は向かいます。

 着いた先は「会津村」という、お寺が運営している庭園でした。
 さらに!駐車場に入ると、目の前に元名鉄のキハ8500形、8503が横たわっているではありませんか!これはとんでもない発見です。

 キハ8500形は名鉄の高山線直通特急に10年使用された後、会津鉄道に転じてこの地でも<AIZUマウントエクスプレス>号という列車名で観光輸送に10年活躍して昨年引退しました。
 後で分かったことなのですが、この車輌はほんの10日前、4月25日に搬入されたばかりだそうです。車体のあちこちで塗装が剥離して痛々しいですが、整備され美しい姿になることを願って止みません。
 脇のレストランで喜多方ラーメン・会津ソースカツ丼セットをいただいた後、拝観料500円也を払って入園します。

 昭和62年に建立されたという観音像は高さ57m。中は40mのところまでらせん状に階段が続いています。らせん階段の内側の壁には、奉納された何千体もの手乗りサイズの金色仏像がずらり。
 展望台の小窓からは園内が一望でき、会津盆地や磐梯山の景色も楽しむことができます。

 広い園内は日本庭園や菜の花畑、桃園、移築された会津の曲り家(中で休憩できます)などが整備され、時折遊覧バスがぐるぐる回っています。家族連れなど、この1ヶ所で半日以上時間がつぶせそうです。会津観光の穴場だと思いました。

 気が付いたら会津村で2時間近くの滞在。思わぬ時間を喰ってしまい、会津若松市内観光はパスして大内宿へ急ぎます。
 大内宿に着いたのは17:40頃。夕方遅い時間だったので駐車場待ち渋滞もなく、すぐに見学することができました。名物ねぎそば(ねぎを箸代わりに使う)とかにこだわらなければ、夕方17時以降の訪問がおすすめです。観光客も多くが帰ってしまうので、静かな気分で回れます。とはいえ、18時までには土産物屋さんも次々店をたたみ、少し慌ただしい宿場巡りとなりました。

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