メゾン 道の果て

9月30日

 ここしばらくの間、子供の話をしていませんでしたが、誕生から8ヶ月が過ぎ、着実に成長を見せています。
 6ヶ月を過ぎた辺りから下の歯が2本、生え始めました。
 さらに7ヶ月の頃には上の歯も生えてきました。
 この頃から舌をべろべろ出して、誰にでも愛嬌を振りまくようになってきました。
 どこか獲物を狙っている蛇やトカゲのようで面白いです。
 寝返りもすっかり覚え、1回どころか何回もごろごろと転がるようになりました。
 続いてうつぶせから四つん這いになり、さらにその姿勢で後退していくことを覚えました。
 ただ前進の仕方はまだ分からず、ハイハイにはもう少し時間がかかりそうです。
 足をばたばたさせたり、伸ばしたり、そして一人座りもするようになりました。
 大人が両腕を支えて立ちの姿勢にすると、ぴんと足を伸ばします。
 一人座りも最初は上半身が不安定で、少し目を離すと前後に倒れて頭をぶつけて泣いていましたが、どこで覚えたのか1週間ほどでぶつけることはなくなってきました。

 人が食事をしているところにも興味を持ち始めたので、7ヶ月を過ぎたところで、離乳食にも初挑戦。
 まずは10倍に薄めた粥から始め、問題なく口にできることを確認して、少しずつバリエーションを加えています。今のところ市販の離乳食を中心に与えています。1度だけ柔らかく煮込んだシラスを少し混ぜてみましたが、まだ体が受け付けてくれなかったようで、吐いてしまいました。以来形の残る物は与えていません。
 離乳食と同時にミルクも継続していますが、夏場になって飲む量が増え、体も一回り大きくなり、赤ちゃん風呂が小さくなったように感じます。

 最近は泣いたり笑ったりだけでなく、いろいろな声を出してきます。
 特に増えてきたのが、
 「がーーー」
 とか
 「う゛ぇー」
 とかいった、低いどすの効いた声。
 小さい赤ちゃんが、それも女の子が、よくこんな怪獣のような声を出すなあ、と。
 最初こそ驚いていましたが、今は真夏に蝉が鳴くのと同じように日常の光景になっています。
 この3ヶ月の変化は急速で、だんだん人間らしさが、それも誰に教えられるまでもなく自然に身についているんだなあ、と感心する毎日です。


9月23日

 先日のカタツムリ掃討作戦の最中、近所の河原を何気なく眺めていると、
 コンクリートの護岸をうごめいている複数の生物を発見。
 よく見ると、それは何と、カニでした。

 数えると10匹余りも姿が見えます。大きさは幅数センチ程度。
 現場は人が立ち入りできない柵の向こう側、急傾斜になっている堤防の護岸で、このすき間に穴を掘って巣としているようです。
 そして時々草むらの中を右に左にゆっくり動いています。
 しかし彼らは草むらから外にはなかなか出ようとはしません。広い場所に出ると鳥の餌食になることを、彼らなりに知っているのでしょう。
 別の日、台風で増水したときに見に行くと、彼らは水没した生活の場を離れ、護岸の少し上の場所に避難していました。

 ネットで調べると、このカニは「モズクガニ」と呼ばれる種類で、海で生まれた幼生が成長に伴って河原を上流に向かってひたすら遡上してきたようです。また彼らは産卵の時期を迎えると、来た道を海に向かって戻っていくそうです。
 この辺りは海から20kmも離れた場所ですが、それにしてもその小さな体で20kmも歩いてきたと思うと、小動物のバイタリティーに改めて驚かされます。
 またモズクガニは食用にもなるそうですが、ここのカニ達は決してきれいとはいえない場所で生活しているので、捕まえて食べる気にもなりません(笑)。

 カニの存在は一部の地元の人には知られているらしく、親子連れが観察に来ているのを見かけます。
 昨日も散歩中のおばさんが、現場に先客として来ていました。
 ここはかつて、全国で最も汚染された川の上位ランキングに入った場所。下水道の普及などで水質はかなり改善されてきましたが、捨てられた缶やペットボトルが流れ着いたりと、まだ清流を取り戻しているとは思えません。地域住民が観察を通してカニの存在を知らしめ、これをきっかけに、改めて環境問題について考えるようになってほしいですが。


9月16日

 9月に入って雨の日が続き、自宅の敷地内でまたカタツムリが大量発生しています。
 以前は駐車スペースのコンクリートをはいずり回って時々車に踏みつぶされていましたが、重点的に退治を進めた結果、こちらからは大分姿を消してくれました。
 代わって大量発生するようになったのは玄関先の石畳。
 横にたくさん置かれた鉢植えから、一雨降るごとに数匹から十数匹の単位ではいずり回り、
 夜、会社からの帰宅時に
 クシャッ
 という音とともに何匹も踏みつぶしてしまいます。
 あまりにも多く見かけるので、先週と今週、計3回に分け掃討作戦を実施しました。
 彼らは晴れた日は植木鉢の下や中に隠れてじっとしていますが、雨が降ると次々石畳やコンクリートブロック、植木鉢の植物に這い出してきます。
 なので作戦は雨の日に実行します。先週末に行なった1回目の掃討結果は、何と

 約230匹。
 サイズは大小様々(直径2mm程度の子供までカウントした)ですが、以前の23匹とか12匹といったレベルではないことに気付かされました。
 これだけの数になると片手一杯でも到底収まりきらず、降りしきる雨の中、近所の河原まで4回に分けて捨てに出向きました。生態系に影響が出ないよう約2〜3m間隔で1匹ずつ、土手の草むらの中に捨てています。

 しかしこれだけ大量に捕まえながら踏みつぶし被害はまだ後を絶たず、今週末、2回目・3回目を実行しました。
 台風が接近し強風吹きすさぶ悪天候ですが、地表付近では風が影響しないのか呑気に這っています。
 昨日の2回目では210匹。
 今日は97匹。
 つまり、この狭い庭先に560匹以上のカタツムリがいた、ということですね。
 狭い空間にある程度まとまった数が存在する上、彼らを捕食する敵がいないのをいいことに、家の主が知らない間に生殖を繰り返し倍々ゲームで数を増やしていったようです。玄関先の植木鉢はカタツムリ天国と化していました。
 3回の掃討作戦で踏みつぶし被害が今度こそ激減すると信じていますが..。
 カタツムリは単体ではかわいらしさいっぱいですが、どの生物でもそうですが集団になると少々恐ろしさを感じます。


9月11日

 2020年オリンピックの開催地が東京に決まりました。
 日本時間の8日早朝、開催地が決まる瞬間をこの目で見ていました。前回、2016年の開催がリオデジャネイロに決定したときも深夜に起きて見守っていましたが(それも完成したばかりの新居で)、あれからもう4年も経つのですから早いものです。
 日本はこれまでも数多くの国際スポーツイベントの開催地を経験しました。最近でも長野冬季オリンピックやサッカーワールドカップの舞台となり、その会場近くまで足を運んだことが記憶に新しいですが、そのような中、夏のオリンピックが56年ぶりに日本にやってくることは感慨深いものがあります。そして2020年東京オリンピック誘致を実現させた関係者の皆さんの熱意と努力に感謝しています。

 前回の東京オリンピックは昭和39年、まだ僕は生まれる前でした。敗戦後の混乱から立ち上がり、新しい近代的な国づくりに邁進する日本。その目標の1つが東京オリンピックだったと思っています。東京オリンピックに向けて、テレビ放送が始まり大きな電波塔が建ち、高速道路や高速鉄道(新幹線)を造り、というように、オリンピックという目標があってこそ、日本は大きく近代国家として成長することができたと思います。1988年の韓国や2008年の中国もオリンピックを契機に大きく成長しました。来たる2016年のブラジルもまた然り。もし今回開催地がイスタンブールとなっていたならば、トルコの国内発展の大きなきっかけになっていたことは間違いなく、そうした意味ではちょっぴり残念だったと思う部分もあります。

 東京が今回開催地として選ばれたのは、治安の良さ、安全・安心といった側面があります。海外のテレビで日本人の「おもてなし」、整理整頓清潔、秩序を重んじ譲り合う心などを大変に誉めている番組がありました。我々日本人は日常生活でこれらを自然にこなしているのですが、海外から見ると非常に驚かれるようです。海外を見て日本と違った文化を経験し、少々恐い思いをして改めて日本に戻ると、普通すぎて忘れている日本の治安の良さを再認識します。
 その一方でオリンピックは多くの国の多様な文化を知る絶好の機会でもあります。うちの子供も、オリンピック開催の年には小学2年生になっているはず。いろいろな国の人がやってくるオリンピックの現場を生で見せて、社会勉強させてあげたいと今から考えています。


9月4日

 おととい、隣町である越谷市を竜巻が襲って全国ニュースとなりました。
 自宅は竜巻通過エリアから10km以上離れた場所にあり、もちろん被害などなかったのですが、
 現場からの中継映像は、以前車や自転車で通過したときに見覚えのある光景。
 その光景が、電柱がなぎ倒されたり車がひっくり返っていたり家財道具や屋根瓦が散乱したりのすさまじさに変化していました。
 自然の猛威の前に、人間はなすすべもないこともあります。
 発生場所があと10kmずれていたら、自宅も吹き飛んでいたかもしれません。

 9月1日、防災の日の前後に会社や学校などで防災訓練をすることが多いですが、
 今まで受けてきた訓練は、大きな建物で大地震や火災を想定しての内容がほとんどでした。
 しかし最近では従来の地震や火災の範疇に含まれない、新たな護身策を迫られています。
 それは津波や洪水、浸水被害、雷。そして今回のような予測不能な突風や竜巻。
 自然災害だけではなく事故や内外からのテロ攻撃、例えば毒ガスやミサイル、放射能なども考慮に入れる必要も出てきました。
 確かに大きな建物での火災で多数の犠牲を出した教訓として、避難訓練を繰り返し行なうことは大変有効です。
 だが人は常に大きな建物の中にいる訳でなく、自宅のような小さなスペースで過ごす時間の方が最も多いはずです。
 それ以外でも列車などで移動中とか、乗り換え客でごった返す大きな駅構内を歩いているとか。
 それぞれのシーンにおいて避難訓練を経験しておくのが理想だと思いますが、実際にはなかなかそうもいきません。つまるところ、各個人の防災意識の啓蒙に頼らざるを得ない現実があります。

 他人ごとだと思っていたところに近所を襲ってきた竜巻。多数のけが人が出たものの、犠牲者がなかったのが幸いでした。
 一日も早い生活の正常化を願うとともに、あらゆる防災意識を高めるきっかけとして、いつまでも心にとどめておきたいです。

BACK道の果て バックナンバーへ
TOPトップへ戻る