メゾン 道の果て

10月29日

 今月初旬までの暑かった日々が終わり、ようやく秋本番を迎えつつあるこの頃ですが、どうも最近は季節感が狂ってきているような感覚に陥ります。

 スーパーのお酒売場をのぞくと、季節限定物の缶ビールや缶チューハイがずらりと並べられています。
 夏真っ盛りの8月、ビールが最もおいしく感じられる夏ですが、
 その時期に店の中は赤い色や紅葉柄で彩られた秋限定のビール缶が並べられ、一足早い秋を感じます。
 しかし店の外は9月の中旬になってもまだ残暑続き。秋限定の味わいを楽しむには早いような。
 もう少し待って、10月を迎えた頃に飲みたいな、と思っていると..

 その10月に入った途端、美しく並べられた秋限定缶は見事なまでに撤収されてしまいました。
 代わって並べられたのは、早くも冬季限定パッケージのビール。
 これにはびっくりです。
 今年は10月に入っても真夏日が来るほどの暑さで、所によっては蝉が鳴いていたというのに、雪の結晶をデザインしたビールが出回る一方で秋のネタが早々に消え失せるとは。
 缶チューハイも同じで、僕が思い立って飲みたいときに、秋限定の洋梨味などはスーパーから姿を消してしまいました。
 自転車で何軒回っても見つからず、町外れのコンビニでようやくありつけるような状況。

 一体酒類業界の「秋限定」って何なの?と叫びたくなります。
 秋のこれからの時期、旬の食材がたくさん出回ります。
 暑くも寒くもない過ごしやすい気候。外でバーベキューがてら、という人も多いことでしょう。
 旬の時期にいちばん飲みたい、食べたい商品の組み合わせが、最適な時期にはもう手に入らない。実におかしな話です。
 まあ、僕は味覚に疎いことを自認しているので大きなことを言える立場ではありませんが、
 その時期、そのシチュエーションに最適なテイストの酒が手に入らないことに納得しない人は多いと思います。
 酒類業界、流通業界関係者は消費者の立場から商品販売スケジュールを再考してもらいたいと思った、秋の夜の出来事です。


10月24日

(前編からの続き)
 木古内14:44発、江差行きに乗車します。これから乗る江差線木古内〜江差間は来年5月11日を最後に廃止されることが決まっており、最後の秋を楽しもうと多くの乗客でごった返していました。キハ40形1両編成の車内は座席がすべて埋まり、通路や出入口付近にかなりの立ち客が見られました。
 木古内を出発すると右に少し曲がった後直進し、新幹線高架からだんだん離れてゆきます。渡島鶴岡、吉堀と停車後、次の神明までは13kmも離れた小さな峠越え区間。人家がなくなり、色づき始めた森の中を時速30kmのゆったりしたスピードで右へ左へと分け入ります。並行道路も整備され、たまにやってくる車に抜かされてゆきますが、道路標識には「除雪は行いません」と書かれており、いかにこの地域が生活するのに厳しい環境に置かれているかがうかがえます。
 次にようやく集落らしいものが見えてきたところが湯ノ岱(ゆのたい)。江差線の今回乗車区間で唯一の行き違い可能な駅ですが、対向列車はなくすぐに発車します。ここから先もしばらくは川に沿って森の中を走ります。麓まで降り人家が見えてくる宮越辺りから江差地区の生活圏に入り、桂岡、中須田、上ノ国と止まります。その次は6km離れて終点、江差。車窓左手に大海原が一面に広がります。
 江差で25分の折り返し時間があるのでまた駅周辺を散策しました。三厩に比べて人家は多く、町営ホールや教会があったりはするものの、ここでもコンビニや商店の類は一切なし。駅は高台にあり、少し歩くと雄大な日本海を見下ろします。

 江差16;16発で木古内に戻ります。途中の湯ノ岱でキハ40形2両編成の団体列車と行き違いました。団体列車の乗客達がこちらに向かって手を振っています。微笑ましい光景です。
 秋の日暮れは早く、17:22に木古内に戻ってくる頃にはすっかり日が暮れてしまいました。

 今回のツアーを振り返って。やはり、路線制覇旅は修行だと改めて確認しました。
 そして弁当や食料は買っておけるうちに買うべきこと。各駅で20数分の待ち時間はあるものの、周辺にコンビニの1軒すらない駅が多く、食料が手に入りません。木古内もスーパーが駅から少し離れた場所にありましたが、江差で何とかなるだろうと思っていたら江差でも食料が入手できず、結局木古内に戻ってくるまで食事にありつけませんでした。次の<スーパー白鳥42号>までの時間で急いでスーパーに駆け寄り、298円の弁当を遅い昼食にしました。地場の味覚など楽しんでいる暇もない状況。
 新青森に戻り、19:36発<はやぶさ20号>で帰路につきました。車内はかなり空いていて、窓際で夜景を見ながらの晩酌です。


10月18日

 13日、青森から北海道方面に日帰り弾丸旅行してきました。
 目的はただ1つ、来年5月廃線予定の江差線制覇です。
 今回使用した切符は「三連休乗車券」。金曜日か月曜日が祝日・休日の期間のみ発売される、3日間有効の乗り放題切符ですが、一応子供がいる身なので、1日だけ暇をもらって1日だけ使うという、少々ぜいたくな使い方をしました。それでも普通に東京〜新青森間を買うより相当お得です。これで江差まで行って来れるので。

 大宮6:58発の<はやぶさ1号>でまずは新青森へ。E5系新幹線は初めての乗車となります。車内は約8割方埋まっている盛況。連休中日は指定券も取りやすいです。時速320kmで走っていますが、それを全く感じさせない落ち着きぶり。速度感が麻痺して、時速240kmも275kmも320kmも区別が付かないのが正直なところです。

 大宮にて

 新青森29分待ちで789系特急<スーパー白鳥11号>に乗り換え、津軽線の蟹田で下車します。この日の青森県は朝からやや不安定な天候で、時折にわか雨がシャワーのように降ってきます。そんな悪天候を突き、待ち時間27分の間に海岸まで往復してきます。遠くに下北半島と、これから目指す北海道(下写真)の、2つの陸地が見えます。

 蟹田からは津軽線の三厩(みんまや)方面のディーゼル列車に乗り換えます。途中の新中小国信号場で津軽海峡線と分かれ、大平(おおだい)を過ぎるとしばらく人家のない森の中を進みます。ようやく森を抜けたところで先ほど別れた津軽海峡線に再び近づき、津軽二股・津軽今別に到着。道の駅くらいしかないこの場所で、意外にも多数の乗降客がありました。ここから終点の三厩までは集落ごとにつくられた駅に細かく止まります。
 三厩駅周辺は、ここもとにかく不便な場所。駅周辺は森と、十数軒の人家と土木事務所くらいしかなく、コンビニや商店の1軒すらありません。折り返しが出るまでの46分間、歩けるだけ歩いてみると、集落は駅から10分以上離れた場所にありました。最寄りのコンビニまでは20分。
 駅に戻ってみると、降りてきた乗客でにぎわっています。駅前に観光バスも止まっているし。何があったのか、構内に入ってみると、新型ハイブリッド電気式気動車キハHB−E300系の観光列車(下写真の左側)が到着していました。今思えば、この臨時列車の存在になぜ気が付かなかったのだろう。もう1種類の列車に乗れる上に、新幹線もあと1本遅い列車で来れたもので。

 12:46発の普通列車で蟹田に戻り、<スーパー白鳥19号>で青函トンネルをくぐり、北海道へ。この列車は途中の竜飛海底駅に停車する列車でした。竜飛海底の見学も11月の終了が決まっており、たくさんの見学客が下車してゆきました。
 木古内駅構内は新幹線高架がほぼ完成のところまで達しており、駅周辺では「2015年度 北海道新幹線開業」と書かれたのぼりをいくつも見かけました。ここから廃止予定の江差線江差方面に乗り換えます。

(後編へ続く)


10月10日

 自宅裏手、人が一人通れるくらいの狭いスペースに、ミョウガが一群を成して生えています。

 4年前、自宅を新築したときにはなかったのですが、写真背後に見える隣の畑から種が飛んできたらしく、いつしか芽を吹いていました。他に生えてくる雑草の芽は徹底して抜いている中、このミョウガは食材を提供してくれることもあり、あえて抜かずそのままにしておきました。4年間でこれだけの群落に成長しました。
 ジャングルと化した自宅東側にもミョウガが自然発生し、やはり同じくらいの小群落を形成しています。
 9月も下旬になり涼しくなると、根元の辺りから花芽がいくつも顔をのぞかせます。
 やがて大きくなり花を咲かせ始めたので、この週末、まとめて収穫しました。

 東西2つの群落で約40個ほど。家族(大人)3人で食べきれるかなと思えるほどの多さです。
 早速刻んで味噌汁に入れたり、浅漬けに和えたり、また卵焼きに混ぜたりするのもあり。
 (実家では天ぷらにもしていましたが、こちらでは家族が片付けを面倒くさがって揚げ物をする機会がない..たまにはやってみたいが)
 しばらくの間は旬の味覚に添える良きパートナーになりそうです。

 自宅敷地内には他にも以前紹介した紫蘇や、三つ葉も育っています。三つ葉はスーパーで買ってきた食べ残しの根の部分を土に植えて冗談半分で水やりしていたら、いつしか大きくなっていました。時々ちぎってはお茶漬けやお吸い物に添えています。
 庭の狭いスペースで、手間をかけなくても大きくなっている野菜達。植物の力に敬服し、自然の恵みに感謝します。

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