メゾン 道の果て

12月31日

 今年もコロナウイルスに振り回された1年になりました。東京都内の1日当たり感染者数は年初で1000人前後だったものが増減を繰り返し、7月下旬から急増して8月13日には5700人以上(後の修正で5908人)をカウントしました。それが下旬になると一転して激減し、10月中旬には30人台、毎週月曜日には1桁に収まるまでに沈静化しています。とはいうものの海外では今でも過去最悪級の感染拡大が続き、国内でも年末になって増加の兆しを見せており気を緩められません。昨年に続き今年も忘年会一切なしの年の瀬となっています。

 改めてこの1年を振り返ると、これといった特筆すべき大きな出来事がなかったことに気づきました。
 書いてあることはおつまみの話、野菜作りの話、子供の学校の話など、日常的な内容ばかりです。感染を警戒して不必要な遠出をしなかったのですが、それだけ平穏無事に過ごせたことの証でしょうか。春や秋に野草雑草シリーズを記したのは、他に書くべきネタがなかった、というのが真相です。ネタに困ったときには足元を見れば何かある。日頃の観察力がいざというとき役に立つのかもしれません。
 会社事務所に出勤したのは1月に1回のみでした。他に会社の健康診断で神奈川県内に2回行っています。午後半休の空き時間のうち1回は前回の貨物線探検、もう1回はここに書きませんでしたが未乗だった横浜市営地下鉄グリーンラインを乗りに行くなど、感染防止に気を払いながら地道に鉄活動を続けています。一方で自作プラレールは2月に東急8500系を公開して以降新作が止まっています。公私ともに忙しくなってまとまった時間が取れなくなったことや、子供が成長してプラレールを卒業する年頃になったのが要因ですが、ちょっと反省し改めて新作の設計、組立に取り組みます。
 また今年はいろいろな新しい物事に取り組んだ年でもありました。大学合唱団のクラウドファンディングの他、会社では社給のパソコンやスマートフォンが届いてこれを十分使いこなせるようにテキストを準備したり、Microsoft Accessを使った業務システムを改善再整備したり。分からないこともネットで調べて整理して理解する能力も問われました。これらを通してまた少し、成長を実感できたと思います。
 来年こそは、早く世界でのコロナウイルス感染拡大が収まってくれることを願うのみですが、さらに感染力の強い新株が国内に侵入しているとの報道があり、警戒はしばらく続きそうです。心置きなく電車通勤や外食,宴会などができるのはいつになることやら。


12月26日

 先日、年1度の会社の定期健康診断で神奈川県に出かけ、久々に朝通勤時間帯の電車に乗りました。思っていたよりも混んでいて、コロナ前の通勤ラッシュに戻りつつあるように感じます。
 検診が終わると午後は半日休暇、空き時間となります。せっかく神奈川県まできたので、以前から少し気になっていた川崎臨海部の引き込み線を探索しに行ってみました。(写真はすべて公道から撮影)

 京急大師線の終点小島新田駅を降り直進するとすぐに貨物ヤードにぶつかります。これが川崎貨物駅です。構内をまたぐ陸橋のすぐ北側に地下トンネルのポータルが口を開けていて、長いコンテナー列車が飛び込んでゆきます。このトンネル、羽田空港付近の地下を通って大井ふ頭付近の東京貨物ターミナルへと通じています。

 川崎貨物駅を囲む道を1周します。規模はかなり広大で1周するのに数km歩きます。構内にはガソリン輸送のタンク車が並べられています。主力は平成生まれのタキ1000形ですが、中にはタキ43000,44000形、それもトップナンバーのタキ43000とか43004などという初期の車輌番号も見かけました。タキ43000は昭和42年製造開始で、実に半世紀以上、54年も現役で走っています。多くの鉄道車輌が30年前後で引退している中、54歳となると驚異的な長寿です。荷主にとってもJR貨物にとってもよほど使い勝手が良いのでしょう。
 構内踏切が鳴り出し、何が来るのか待ち構えていたらタンク車を先頭に数両の貨車編成がやってきました。最後部の機関車が貨車を押して運転しており、入換作業中のようです。

 川崎貨物駅から工業地帯に伸びる貨物線の1つを徒歩で巡ってみました。神奈川臨海鉄道浮島線、路線長3.9km、本線のほぼ全区間が国道の歩道沿いに敷設されており、歩いて訪ねやすい貨物線です。
  途中数ヶ所で工場への引き込み線が分岐してゆきます。工場構内に一般人が立ち入ることはできませんが、どんな貨車がいて何を積んで出てくるのか想像するのも楽しいです。中間の末広町貨物駅には舗装されたヤードがあり、川崎市の可燃ごみ収集用コンテナーが積まれています。


 終点の浮島町貨物駅ではタンク車ヤードに向かう引き込み線を分けた後、歩道沿いの本線は突然終端を迎えます。列車もあまり来なさそうな線路沿いをどこまでも歩いてゆくとその先に何がある....鉄道趣味の原点に立ち返る経験ができたと思います。

 川崎貨物駅近くまで戻ると、またも踏切が鳴り出しました。やってきたのは神奈川臨海鉄道の機関車DD60形を先頭にしたタンク列車。時速15kmくらいの超低速で進んできました。
 後で調べたところ、浮島町線は貨物列車の本数が1日10数往復と、貨物専用線ではかなり多い部類に入るそうです。機会を改めて再訪したいです。


12月19日

 今年も例年通り、大学合唱団の定期演奏会を見に行きました。
 昨年はコロナ禍で入場制限をかけるなど物々しい雰囲気の中での開催といった感が強かったのですが、今年は事前に予約をすれば誰でも入場できるようになりました。ただし今回の開催では入場料を徴収、しかもアプリによる決済のみとのことなので、アプリのインストールや購入申込手続きなど、スマホに慣れていない世代には戸惑いが多いです。
 会場は数年前まで毎年のように利用していた、東京都心部のおなじみのホールです。入場にあたって手をアルコール消毒し、スマートフォンのチケット購入アプリを起動して本日の演奏会画面を見せて通ります。観客数はざっと見ですが、それでも昨年の倍近くはいたように思います。
 練習時間が確保できなかった昨年は、組曲を一部だけ演奏するなど規模を大幅縮小しての開催でしたが、今年は各ステージで組曲を一通り演奏できるようになり、コロナ前の構成にほぼ戻りました。演目はこの合唱団が過去に演奏したことのある曲が多く、安心して聴けると思う一方で、伴奏をエレクトーン用に編曲しピアノとダブル伴奏を行なうなど、新しい演出を積極的に取り入れているのも印象的でした。団員がのれんのような縦長マスクを着用して歌っていたのは昨年同様です。演奏は昨年以上に素晴らしいもので、入場料を払って観覧するだけの価値はあったと思います。

 入場料の話が出ましたが、今年は団の会計運営面で危機的な状況と聞いていました。コロナ禍で新入部員が減って団費の収入も大きく減少した上に、感染防止として大学当局が学内施設の使用許可を出さず、対面練習は外部の公共施設を使わざるを得ませんでした。外部施設では毎回利用料が発生しさらに会計を圧迫することになるので、現役委員会とOB会とで協議し、この夏にクラウドファンディングによる資金集めを合同で実行しました。今回演奏会のホール利用代金を目標額としましたが、最終的には目標の2倍を超える寄付が集まり、練習環境の充実に大きく貢献しました。クラウドファンディングのアイデアを出したのは若手OBですが、思い付きを実行に移し、各方面の協力を取り付けて資金集めに成功したのも、現役生,各卒団生の一致した思いがあったからこそで、実行した皆様一人ひとりに感謝の思いでいっぱいです。
 また入場料を徴収する決断、入場料のアプリ決済導入、Zoomによる意見交換会の継続実施など、必要に迫られての部分はありますが現役委員会は新しい方式を次々取り入れ実行してきました。我々のような年寄りに近づいた年代にはついてゆけないところも多いですが、新しい物事に果敢に挑戦する姿勢を、改めて学び見つめ直した1年となりました。来年もまたこのスタンスで挑戦を続け、定期演奏会に結びつくことを祈っています。

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