メゾン 道の果て

週観 道の果てから

9月30日

 (前回の続き)
 4日目、朝から旭山動物園を訪問します。バスは駅前から30分に1本の割合で出ており、所要約40分で着きます。35年前までは市内電車が動物園のすぐ近くまで走っていたのですが..。バス会社は鉄道廃止から35年経った今でも未練がましく?「旭川電気軌道」の会社名を名乗っています。動物園人気のおかげで、平日にもかかわらず多数の乗客で混雑しています。
 現地に到着したのは開園20分後の9:50。開園直後にもかかわらず、各所で行列ができる盛況です。
 旭山動物園は、従来の動物園のようにただ動物を展示するのと違って、自然の環境に近づけて動物が本来の姿で行動するを見る、というのがコンセプトになっており、動物の生き生きとした動きを十分に楽しんできました。

ぺんぎん館では、ガラスのチューブでできた水中歩道から、泳いでいるペンギンの姿を楽しむことができます。横浜は八景島のシーパラダイスを思い出しました。
たくさんの人が、携帯を木の上に向けて何か撮っています。木の上には数頭のレッサーパンダがお休み中。分かりますでしょうか。
 ここまで人が集まると、動物よりも人の行動を観察する方が面白かったり。
今年6月にオープンしたオオカミの森。
決して撃たれて倒れている訳ではありません。
透明カプセルから見る人の目を全く気にせずお昼寝中。

犬の祖先でもありますが、素人には犬にしか見えません。
これも旭山動物園を象徴する光景かもしれません。
 キリンが、高いところにぶら下がった餌箱に入っている牧草を、首を伸ばして食べています。それを夢中になって撮っている観客達。
 その後ろではホロホロ鳥の集団が、我関せずとばかりにマイペースで遊んでいます。
ガラス越しに、猛獣をすぐ近くで観察できるのが魅力。
トラも観客のすぐそばまで来て、無防備に足を投げ出して眠りこけています。ネコ科の血筋だからでしょうか、なぜか可愛さを覚えます。

ちなみに妻のお気に入りは、チンパンジーの森で撮った、ゴリラのどアップ写真でした。

 もちろん、このほかにも多数の動物、例えば猿や熊、鳥、は虫類など多数の動物がいます。このスペースで全てはなかなか語り尽くせません。百聞は一見にしかず、行って良かったと思う動物園でした。

 旭川駅までバスで戻り、残り時間はまだ僕が乗っていない路線の1つ、留萌本線に乗って増毛まで往復します。
 15:30発の特急で深川に出て、ここで留萌本線に乗り換え。元急行用キハ54の1両編成での運行でした。
 立ち客が出るほどの混雑だったのが、3駅目の石狩沼田で大半が降りてしまい、あとは至ってローカル線の趣。恵比島では、以前放送されたNHK朝ドラマのセットがすっかり色あせながらそのまま残っていました。
 小さな峠を越え、山道を進み、留萌を出ると日本海沿いに出ます。ちょうど日暮れの時間、太陽がまぶしく輝きながら地平線へと沈んでゆきます。

 終点、増毛はかつてニシン漁で栄えた町。駅周辺にもお金をかけて建てられた建物がいくつも見られます。往年の栄光を今に伝える貴重な語り部となっています。
 ちなみに、「増毛」だからといって、駅前にアデランスやかつら屋さんなど見あたりませんでした。もちろんですが..(笑)

 (次回に続く)


9月27日

 (前回の続き)
 札幌市内観光で少々手こずった?おかげで、釧路へ向かう特急列車は予定の次、1時間半後の15:50発<スーパーおおぞら9号>に乗ることになりました。8両編成ながらほぼ座席が埋まる盛況ぶり。南千歳から石勝線に入り、人家1つない山の中を右に左に何十キロと進みます。狩勝峠を抜け、十勝平野に向けて坂道を駆け下りていく頃には日が暮れていました。
 本日の宿泊地、釧路には19:45到着。駅から10分ほど歩いたところにある市中心部のバスターミナルの店で海鮮丼を食べます。港や市場に近く、食材も新鮮です。後で気が付いたことですが、隣で海鮮バーベキューが開いており、これにしておけば良かった、と少し後悔。でも河口の夜景も美しかったし、大満足です。

 3日目、釧路を9:05発の快速<しれとこ>に乗り込みます。ちょうど3年前、道東を一人旅したときにもこの列車で網走に向かっており、まさに3年前の旅の再現です。1つだけ大きく違うのはパートナーがいること。車窓に展開する釧路湿原の光景は、ぜひ見せたかったから。妻は静かに感激していました。雨降る峠を越え、頂が雲に隠れた斜里岳を右手に見て、やがて果てしなく広がるオホーツク海へ。
 原生花園駅で下車し、1時間ほど散策します。はまなす咲く小道を歩くと、目の前には砂浜海岸が。丘の上には展望台もあり、線路の反対側に広がる濤沸湖を、そして海を360度一望できます。湖のほとりに出られないのが残念ですが、放牧されている牛たちを道路から眺めることができます。写真右の「下矢印」標識は北海道特有の道路標識で、雪が降ってもすぐ確認できるように道路と歩道の境界線を示すものらしいです。

 1時間ほど後の普通列車で網走に移動します。前回は時間の都合で1時間半しか取れず、観光スポットも満足に回れなかったのですが、今回は4時間確保し、効率良く回れるようにレンタサイクルを借りてこぎます。
 まずは網走刑務所入口にある「オホーツクバザール」というドライブインで昼食。ご当地メニューで「ザンギ丼」を売り出しており、昼食はこれにしました。ザンギとは、鮭の切り身を唐揚げにしたもので、これをご飯の上に乗せ、マヨネーズ、ネギ、海苔などをかけて豪快に食します。なるほど、こういう食べ方もあるのか、と感心。

 網走刑務所は道路と川を挟んで向こう側にあります。ここに立ち寄った後、次は観光スポットが集まる天都山に挑みます。ところが、妻が自転車で山道を登れず、途中から自転車を降りて転がす始末。山頂にある「オホーツク流氷館」をあきらめ、途中にある「博物館網走監獄」(網走刑務所とは全く別の場所にあります)一本に絞ることにしました。
 敷地内は広く、全部回ると1時間はゆうにかかります。観光名所として名高い場所であり、テーマパークみたくもっと俗化されているかと思っていましたが、刑務所の古い建物をそのままそっくり移築してきた、ということで史料的価値が非常に高く、大変好感を持ちました。来場者の中にはどこから来たのか、修学旅行の高校生団体もいました。

昭和40年代まで、ここに並んだ独房の中に多数の受刑者が収容されていたという。

 監獄を辞して坂道を降り、駅へ戻るとちょうど良くレンタサイクルを返す時間になっていました。17:18発の特急<オホーツク8号>に乗って3時間半かけて旭川に移動します。旭川20:59着。今日から3日間、この街のホテルに連泊します。夕食はもちろん、旭川ラーメン(笑)。
 (次回に続く)


9月21日

 1週間の夏休みをもらって、夫婦で北海道に行ってきました。
 きっかけは、テレビの旅行番組を見ていた妻の、
 「北海道行きたあーい」
 という一言でした。
 妻は北海道はおろか、福島県より北にすら行ったことがないので、せっかくだから、今のうちなら子供もいないし、ということで、休暇をもらって出かけることにしました。

 行きは夫婦ともに憧れていた寝台特急<北斗星>の個室寝台が取れました。妻はもちろんのこと、夫本人も<北斗星>にまだ乗ったことがなかったので、まずここで憧れの1つが実現します。
 現地では滞在5日間とし、北海道ゾーンの周遊きっぷを使って北海道を一周して、北海道のあらゆる魅力を体感できるように行程を組みました。一口に北海道といっても、地域ごとに全く違った表情を見せるので。本州に近い道南地方と、湿原の多い道東、そして北の果てと、これら全てを巡れるようにしました。さらに妻が行きたがっていた旭山動物園は押さえたかったし。あと自分にとっても、なかなか出かけにくい場所にある未乗路線は今踏破しておきたかったし。
 その結果、計画ルートはこのようになりました。

 (東京基準)2日日 <北斗星>〜苫小牧(室蘭本線)〜岩見沢〜札幌(市内観光)〜釧路泊
 3日目 釧路〜原生花園〜網走(観光)〜旭川泊
 4日目 旭山動物園入園、増毛まで往復 〜旭川泊
 5日目 稚内まで往復(日本最北の地・宗谷岬観光)、〜旭川泊
 6日目 旭川〜中富良野(ファーム富田見学)〜小樽〜新千歳空港〜羽田空港

 5日間もあれば、道東の湿原地帯も、網走監獄も、旭山動物園も、富良野のお花畑も、日本最北端も、まだ乗っていなかった宗谷本線や留萌本線も、北海道の基本線は一通り押さえることができます。
 コースをどのようにするか悩みながら決めたので、宿泊地の決定とホテルの予約は最後になってしまい、特に旭川が平日3連泊にもかかわらずほとんど満室という状況。ネットを探し回り、ようやくツインながら3連泊できるところを見つけました。

 ということで、14日(日)19:03発の<北斗星>B個室デュエットに乗り込み、北海道ツアーは始まりました。
 初日の夕食は上野駅の駅弁。食堂車の豪華ディナーは満席でかないませんでしたが、それでも個室寝台で過ごす時間は至福のひとときです。2人で窓の景色を見て話ししているうちに、宇都宮,福島,仙台と北上してゆきます。結局横になったのは、仙台を出て日付が変わった頃から。仙台までは当日のうちに到達してしまうのですね。
 横になっても揺れであまり寝付けず、寝付いたと思ったら青函トンネル内の大轟音で起こされ、轟音が終わると朝のまぶしい光で起こされ、寝付けないまま函館に到着。妻にとっては初めて見る北海道の景色に、やや興奮気味です。
 函館を出ると大沼と駒ヶ岳を臨み、森からはひたすら海沿いを進みます。
 朝食は憧れの食堂車で。食堂車で食事をとること自体、高校時代に九州方面の寝台特急や100系新幹線の2階建て食堂車以来本当に久しぶりの体験になりました。時間帯を少し外せば、食堂車はすいていて気軽に利用できます。朝食セットは1,600円。ウェイターさんが気さくな方で、記念写真をとってもらったり車窓案内をしてくれたりしました。

 <北斗星>を苫小牧で降り、室蘭本線の岩見沢行きに乗ります。かつては沿線で産出される石炭を苫小牧や室蘭方面に運ぶ大幹線で、その名残でいまでも非電化ながら複線という堂々とした路線ですが、石炭列車がなくなった今では普通列車が2時間に1本来るだけの寂れたローカル線になってしまいました。沿線は広々と畑が広がり、時々白樺林が通り過ぎ、いかにも北海道らしい雄大な光景です。
 岩見沢から特急<スーパーカムイ>で札幌に出ます。札幌ですぐ市内観光、となるところでしたが、妻の大荷物をコインロッカーに預けようとしたらどこもいっぱいで、空きが出るまで30分も待たされました。無事預けられたら、時計台、大通公園、ラーメン横丁(昼食)と定番スポットを進み、最後に旧北海道庁のレンガ造りの建物を見て駅に戻りました。

中心部、「狸小路」の質屋で見かけた2頭の熊。
今にも襲ってきそうで恐い。

(次回に続く)


9月14日

 大学合唱団の音楽監督の先生が、初めての「ライブ」を開くことになり、見に行ってきました。
 先生とのお付き合いは18年前、僕が現役2年生だったときに始まりました。以来18年間、ずっと大学合唱団を見てくださり、同時に自身もプロのオペラ歌手として活躍を続けられています。
 そんな先生が、「恵比寿のライブハウスでコンサート」と聞いて、まず驚きました。今まで西洋歌劇主体の活動だった先生が、ライブとは。
 しかも入ってきた情報では、「CDデビューして、しかも自分の持ち歌もある」らしい。さらに担当マネージャーさんまで付いて。一体どうなってしまったのか..と思いつつ、木曜日の夜、会場のライブハウスに急ぎました。

 19:00の開演に少し遅れて到着。客席70名の会場内は舞台を残して真っ暗です。舞台に青白いライトが当てられ、ほどなく本日の主役でもある先生が登場しました。客席は大歓声。年齢層も思っていた以上に幅広いです。まずは歌い慣れたオペラ曲を3曲こなします。
 舞台が明るくなって、本人あいさつとピアニストさん、プロデューサーを兼ねたギタリストさんのご紹介。こんな交友関係もあったとは。
 次の曲は中島みゆきの名曲「時代」をカバー。いやはや、オペラ曲に負けず劣らず、こちらも味があります。
 そしてこの次が、今回初公開となる持ち歌でした。CDデビューする先生のために、と知人の方が詩を作り、これにギタリストさんが曲を付けてくださったそうです。オペラの発声を生かした曲の造りが、先生の歌い方によくマッチしていて、心地よく聞くことができました。
 途中でイタリア留学時代の思い出話など、楽しいトークを何回か挟みながらライブは進行してゆきます。
 後半はカンツォーネ、持ち歌2曲、アンコールではディズニーの曲と井上陽水の「少年時代」で締めくくりました。
 終了後、客席内にドリンクが配られ、乾杯の合図で懇親会に入りました。マネージャーさんは先生の小中学生時代のお友達で、同窓会で再会したのが縁で今回の仕事を引き受けてくださったとのこと。いい話ですよねー。 

 ライブを見終わっての感想。自分にとって、とにかく衝撃的の一言に尽きました。
 今まで18年間、合唱団の夏合宿を訪問したり、舞台を見に行ったりとお付き合いを続けてきましたが、今回のライブでは、今までにない先生の世界を見た、という印象でした。そしてこういう思い切った転身ができる人を、少しうらやましく思いました。サラリーマンをやっているとなおさら、転職を含めて思い切った転身がしにくいですからねえ。
 ライブは今後も続けてゆくとのことですので、次の機会には、大学合唱団時代の仲間にぜひ見に行くようすすめてみます。


9月7日

 昨日、大学合唱団時代の後輩(5月6日の回で登場)の結婚式に行ってきました。
 この後輩は大学を卒業後、本格的に心理学を学ぼうと愛知県内の大学の修士課程に入り、さらに広島大学に進んで博士号を取得したという、そうそうたるキャリアを持っています。そして現在は銚子市内の大学で学生を指導しながら、日夜研究に励んでいます。5月に仲間で集まったときに結婚の報告があり、どんな人と出会ったのか、楽しみにしていました。

 今回の会場は千葉市内にあるホテルです。東京駅から電車で約40分という地理的条件にもかかわらず、大学時代の同期生が北は北海道から南は長崎県まで、10人全員が集まりました。10人が揃ったのは恐らく10年位前の熱海旅行以来か?ともかくさすがは大学時代の絆の強さです。10年以上ぶりに見る顔が3人いました。1人は「いかにも芸術家」的な風貌に変わり、一瞬誰だか分からなかった。1人は野外での仕事ですっかり色黒になった。そして1人は10年前そのまんま。どこでもいますね、変わった人、変わらない人。
 教会式を終え、チャペルの外でフラワーシャワー、そして記念撮影。ここまでは滞りなく進んでいます。
 披露宴は16:00から始まりました。新郎新婦の紹介が司会者によって読み上げられました。何と、新婦は弁護士とのこと。しかもピアノが弾ける弁護士。高校時代まではプロのピアニストを目指し、音大受験に向けて準備していたのが、直前になって法律家になりたいと方向転換し、大学で法律を勉強して卒業後6年で司法試験を突破した、という、さらにすごい経歴を持っていました。しかしよくこんなすごい女性を見つけてきたなあ、と感心することしきり。祝電の披露はほとんどが新婦側の法律事務所関係で、人的なつながりも大変大きいです。
 ちなみに新郎と新婦の歳の差は新郎が1歳年上。新婦はうちの妻と生年月日が4日しか違いません。
 出し物ですが、まずは新婦によるピアノの披露。音大級の腕前を持つだけに、とても素晴らしい演奏でした。
 BGMも全曲ピアノの生演奏、というのが、新郎新婦のこだわりが伝わってくるようです。
 来賓の余興は、新婦側は法律事務所仲間によるマジックの披露。軽妙なトークで楽しませてもらいました。
 そして我らが新郎側は、出席した合唱団仲間で校歌と、愛唱歌集の曲を1曲歌いました。
 今回は事前練習なし。当日に楽譜を渡され、本番一発勝負。卒業して13〜15年、かなり調子がおぼつかない人も居たようですが(笑)、何とかつなぐことはできました。

 型通りのあいさつで披露宴を締めくくり、続けて2次会に出席します。披露宴で帰ってしまう人、入れ替わって2次会から参加する人もいて、またにぎやかに進みます。披露宴で食事をたくさんとってしまったので、2次会ではほとんど何も詰め込めないのがきついですが..。
帰りはみんなで一緒に帰ろう、と約束していたのに、退出がばらばらになってしまい、1学年下の後輩の女性と2人で東京方面に帰ることになりました。彼女は2年前の校友会全国大会での合同演奏を企画した立役者ですが、昨年の10月に晴れて結婚したそうで、お互いの出会いや、今の夫婦生活とかを情報交換してきました。
 35歳を過ぎて、合唱団仲間でまだ独身だった人もようやくパートナーが決まりつつあるようです。どうかお幸せに。

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