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旅行記 「目指せ、道の果て」

Vol.3. 北近畿一周ツアー'06

 今回は昨年5月の大型連休に北近畿・大阪・滋賀・愛知方面を回ってきた記録です。

 関連コラム 5月13日分

平成19年1月1日更新

(1日目:5月3日(木) 前編)

 今回のツアーは「北近畿一周」という名前だが、実際の目的は北近畿地区にとどまらず、その行き帰りついでに近江鉄道、そして新線開業や路線の廃止が相次いでいる名古屋周辺の路線も巡ってくる、というのも含めている。購入乗車券は順当に、周遊きっぷの「北近畿ゾーン」とし、ゆき券は東京都区内〜米原〜敦賀〜小浜、かえり券は和田山〜姫路〜東京都区内とした。

 東京7:03 9103A <のぞみ103号> 727-6
 大型連休後半初日、新幹線は混雑が続いている。乗車した臨時の<のぞみ103号>も自由席は通路やデッキを含めて立席客でいっぱいの状況。ただ通勤ラッシュ並みというほどではなく、新聞を広げて読むくらいの余裕はある。筆者が東京駅に到着した時点で自由席の座席は埋まってしまい、ずっと立席で名古屋まで向かう。それでも普段から足腰を鍛えているおかげで、片道1時間40分の立席はさほど苦痛ではない。
 天候は良好。雪をかぶった富士山もよく見えて美しい。しばらくはこの天気が続くということで、天気の運には恵まれたようだ。

 名古屋8:56 3M 特急<しらさぎ3号> サハ683-2504

名古屋にて クロ682-2001

 名古屋で新幹線を降り、13分の接続で特急<しらさぎ3号>が待っている。車両は西日本の683系「サンダーバード」が使用されている。1本前の<のぞみ>からの乗り継ぎ客で、こちらも自由席はすでに満席に。しばらくはデッキに立って外を眺める。
 名古屋を出た東海道線は北西方向にまっすぐ走って岐阜を目指す。巨大な貨物基地あり、名鉄電車との併走ありの車窓は見どころいっぱい。岐阜、大垣を過ぎると間もなく車両基地が見え、その先の信号場で線路が3つに分かれる。1つは本線、1つは2日後に乗車予定の美濃赤坂支線、そしてこれからこの列車が向かうのが「新垂井線」と呼ばれる下り列車専用のバイパス線である。ここから先、「関ヶ原越え」の区間で下り列車は峠を登るが、この勾配を緩和する目的で建設されたのが新垂井下り線である。現在は下り貨物列車と特急列車がこの区間を利用している。普通列車と上り全列車は本線経由で運転する。
 美濃赤坂支線、本線と次々に分かれると、新垂井下り線は山裾に入り、みるみるうちに高度を上げる。いつしか平地を眼下に見下ろしている。集落が見えたかと思うと、左手に古い駅があったとおぼしき空き地を通り過ぎる。これが新垂井駅跡で、国鉄末期まで普通列車(当然下りのみ)の一部もこちらに回って停車していた。現在は普通列車は上下ともすべて本線経由となり新垂井は廃駅となっている。連続上り勾配がだんだん緩くなってくるのを感じる。気が付くと左手にしばらく離れていた本線がぐんぐん高度を上げて近づき、鉄橋の下をくぐっていった。これが合流すると関ヶ原である。新幹線を乗り越し、短いトンネルを抜けると、程なく今度はカーブ続きの下り勾配に転じる。同時に県境を越え、次の(近江)柏原は滋賀県の駅だ。北に伊吹山を望みながらカーブを順調に下ってゆく。
 米原で4分停車。新幹線からの乗り換え客をたくさん迎える。ここまでは指定席がかなり空いていたのでしばらく拝借していたが、ここで完全に埋まり、再び立席の旅を続ける。外で「ポッ、ポーッ」と汽笛が聞こえた。蒸気機関車C57が客車を入れ換えていた。
 米原で進行方向が逆になり、今度は北陸線を北に向かう。遠くに琵琶湖、近くに菜の花畑。春らしい風景の中にカメラを持ったファンがたくさん埋もれていた。さっきのSL列車がここを走るらしい。穀倉地帯をまっすぐ走り、山にぶつかると方角を西向きに変えて、西から来た湖西線を迎える。その合流地点、近江塩津では臨時の485系<雷鳥>を待たせて通過する。長い深坂トンネルを抜けて福井県に入る。この区間、下り列車は急な勾配を一気に降りて敦賀に向かうが、上りでは途中にループ区間があってぐるりと一周する。そのループ鉄橋もあっという間にくぐって敦賀に10:29到着。

 敦賀10:44 930M 普通 クモハ125-2
 敦賀で小浜線に乗り換える。小浜線は2時間に1本程度しか列車がなく、乗客も少ないだろうと思いきや2両編成が既に立客大勢という状態。またしても座席にありつけず少し恨めしげに立って外を眺める。車両は平成15年に小浜線が全線電化したとき導入された新型電車クモハ125。ローカル列車用ながら座席は転換シートの豪華版だ。
 敦賀を出てしばらくは今来た北陸線と併走する。次の西敦賀付近で左手の山に北陸線上りのループ区間が見える。右手遠くに敦賀の街を見下ろす格好で山裾を走り続ける。山を1つ越え、原発の町三浜、湖の町三方と通り過ぎる。沿線は峠越えもなく、かといって海が見えるわけでもなく、右左に山を挟んだ谷間の農村を進む。
 約1時間ほど走って、小浜で乗客が大量に下車しようやく座席が空いた。小浜を出てしばらくすると右手は海岸線に。今回のツアーで初めて見る日本海だ。海を見て、農村を抜け、そして半島の付け根を通り、30分余りで高架になった東舞鶴に到着する。

小浜にて クモハ125-3

 東舞鶴12:50 332M 普通 クモハ112-5307(旧番モハ112-335)
 東舞鶴から先は線名が舞鶴線と変わる。列車もここで乗り継ぎとなり、約15分の接続で次の福知山行きが待っている。113系の2両編成。昭和52年生まれの中間車ユニットだったが、両端に運転室を取り付け先頭車化改造された。
 東舞鶴から山を1つ越えて6分で西舞鶴に着く。左に北近畿タンゴ鉄道宮津線を分け、南下して谷間を上る。約20分かけまた1つ山を抜けると綾部に着く。ここから山陰本線に合流し、盆地の平坦区間を西に向けて突っ走る。終点福知山は高架新線に切り替わったばかりで、コンクリートの白さがまぶしいくらいだ。

福知山にて

 後編に続く

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