メゾン 道の果て

週観 道の果てから

9月30日

 24日の日曜日、大学の卒業生による全国組織「校友会」の全国大会の場で合唱曲を歌ってきました。

 事の発端から活動開始までのいきさつは6月10日に記した通りですが、その後、各年代の卒団生に声をかけ続けた結果、上は昭和30年代卒から下は平成組まであらゆる年代から、10数名のメンバーを集めることができました。そして現役団員は3年生を中心としたメンバーが集まり、約40名の合同編成が組まれました。
 しかし、現役団員のスケジュールの都合により(6月中は東京都合唱祭に向けた練習に集中、7月は前期試験)、練習が本格的に始まるのは8月の下旬になってからでした。設定できた練習回数は2時間ずつ計4回。演奏曲は予備を含めて6曲もあり、1曲の合わせにつき、わずか1時間しか時間が取れません。練習の場で音取りをする余裕が全くなく、事前に送られてきた音取り用MDを会社帰りの電車内で繰り返し聴いて必死に覚え込みました。実は現役時代も、2年前の合同演奏会のときも、ここまで本気で事前音取りをしたことはありませんでした。それは練習回数が多く、しかも最初の練習は必ず音取りの時間となり、曲の雰囲気を歌ってつかむことができたからです。
 事前音取りのおかげで、各曲わずか1時間ずつしかない練習は効率的に進められました。

 こうして24日の本番の日を迎えました。当日は都内にある大学のキャンパスに集合し、最終調整を行なった後、東京を15:00過ぎの新幹線で宇都宮まで移動します。ちなみに僕はこの日途中参加で大宮から合流しています。
 宇都宮で降りると、はっぴを着た大学関係者が待ち受けていました。送迎バスに乗り込み約10分で会場のホテルに到着します。
 出演するのは17:00から始まる懇親会です。現地ではほとんど着替えの時間のみですぐに出演します。
 ほどなく出演時刻になりました。控室から厨房、非常階段を抜けて3階にある懇親会場の裏で1列に並んで待ちます。
 そして合図とともに懇親会場の特設ステージに上がります。
 まず、とにかく人の数が多い。1000人以上が入れる広い会場に、これまた目一杯、新旧卒業生が集まっています。
 それに、会場の中が大変騒がしい。懇親会場と聞いていたのである程度騒がしくなるのは予想していましたが、実際にステージに上がると、それは予想していた以上でした。今まで何度もステージをこなしてきた我が合唱団のメンバーですが、これほど騒がしい会場で演奏するのは初めてでしょう。
 我々の演奏で、より多くの人を振り向かせたい。
 メンバー一同、いつもより一層元気な声を出して、力強く歌い続けました。
 最後に「紫紺の歌」という大学の応援歌を歌いましたが、どこからとなく手拍子が聞こえ、やがてそれは会場全体に広がりました。この企画に乗って良かったなあ、とつくづく感じました。
 15分間の演奏は大成功で無事終了しました。演奏終了後はすぐに控室に戻り、送迎バスに乗って駅に戻ります。
 この後、宇都宮名物の餃子で打ち上げをしたのは言うまでもないでしょう。

 今回のプロジェクトにより、我が合唱団の活動は大学学内に広く認知することができたと思います。そしてこれがきっかけとなって、定期演奏会の観客数が増えたり、次の学内イベントで呼ばれて演奏できるようになれればと期待しています。出演されたメンバーの皆様、関係者の皆様に、心から御礼申し上げます。


9月23日

 ハードディスクビデオカメラの話、編集編。まだ引っ張りますが、どうかお付き合いのほどを。

 8月31日の本欄で、約8時間半分の動画記録をパソコンにコピーするところまで書きました。コピー自体はパソコンとビデオカメラをUSBケーブルでつなげば、どんな膨大なデータ量でもほんのわずかな時間でできてしまいます。
 これをDVDに保存するのですが、パソコン用にデータとして保存するのであれば、この動画データを無加工で空のDVD−Rにコピーすればよいのです。ただ、DVDドライブにDVD−Rを入れて動画ファイルをドラッグしてもコピーは行なわれないので、DVD作成用ソフトを使用する必要がありました。昨年購入した自宅のパソコンにはプレインストールされていたので、これを初めて使ってみます。全体の合計が4.7GBを超えないように気を付けながら手順通りにファイルを指定し実行すると、動画データ入りのディスクの出来上がりです。当然1枚で収まるはずもなく、全部で5枚分も使ってしまいました。また、1度書き込みしたDVD−Rは、たとえわずかなデータ量でも2度と追加書き込みができなくなりますのでご注意を。
 このディスクはパソコンでの動画編集用として、合唱団の現役団員にお渡しします。

 しかし今の手順でコピーした動画データは、パソコンで見ることはできてもDVDデッキで再生できません。データ入りディスクとは別にDVDプレーヤー再生用のディスクを作成することにしました。ここでDVD動画編集ソフトの出番となります。
 購入したハードディスクビデオカメラには、動画編集・DVD作成ソフトとして「CyberLink PowerDirector/PowerProducer(Windows用)」「Capty MPEG Edit(Macintosh用)」が添付されています。ちなみに「PowerDirector/PowerProducer」はソースネクストから2,970円でセット発売されています。これは安くて大変使えます。
 「PowerDirector/PowerProducer」をパソコンにインストールします。PowerDirectorを立ち上げ、パソコンに保存した動画ファイルを開いて編集画面にドラッグ&ドロップします。各動画の内容も最初の部分がサムネイルで表示され大変分かりやすいです。映像は動画の他にJPEG静止画、単色バックグラウンドなどが使えます。MP3形式の音楽ファイルを入れたり、マイクをつないでナレーションを吹き込むことも自由自在。映像や音楽は冒頭からではなく中間の一部分だけ使ったりとか、フェードイン・アウトも切り替え部分ごとに設定できます。これらの設定は秒はもちろん、1コマ、30分の1秒単位からできる細やかさ。
 これだけではありません。映像のつなぎ(転換)部分に挿入する「効果」は多種多様なものが準備されています。ページをめくるように切り替わったり、画像が一瞬モザイク様になったり3Dになったり、中には炎が燃え盛るとかいう凝ったものまで収録されています。どれを使おうか迷ってしまいます。
 タイトル効果も30種類くらい収録されていて、文字を踊らせたり、くるくる回転させながら表示させたりなどといった芸当もできて驚きの連続。文字色や書体も自由に変えられます。タイトル効果を使ってセリフをテロップで表示したり、テロップを右から左に流したりという応用もできます。複数のサイズのフォントを同時に表示できないのが少し残念ですが、それでもタイトルを凝った作りにするだけで注目度は抜群です。
 あ、動画編集の説明が長くなってしまいました。今回は単純に動画を無編集でDVD化するので、動画データを編集画面に投げ込みます。これで保存をクリックすると、DVD保存用に動画ファイルを1つのMPEG形式動画ファイルにまとめてくれ、続けて「PowerProducer」が起動します。ここではチャプター(頭出し)の設定や、タイトルの設定を行なうことができます。設定してDVD作成を指示すれば、プレーヤー再生用DVDの出来上がり、という訳です。

 使ってみての感想。とにかく編集にストレスを感じません。今までは8ミリビデオカメラと編集機、ビデオデッキ、テープレコーダーをつないで、リモコンを複雑に操って少しずつ編集を進めていました。特にタイミングの合わせ方が難しく、何度もつなぎ直しをしたりなど、毎回編集のたびに苦労していました。2時間のビデオを編集するのに土日フルに使って2ヶ月もかかる状態で、本当に好きでないとやっていられない仕事でした。
 今回のハードディスクビデオカメラと動画編集ソフト導入で、これらの苦労も過去のものとなりました。15分のサンプルビデオを制作してみましたが、編集作業(タイトル・テロップ・BGM挿入)に2時間半、編集結果の出力に15分。ほんのちょっとした片手間で作れてしまいます。今までと比較して作業時間が何と8分の1。劇的なスピードアップではありませんか。
 しかもデジタル化で画質の劣化も少なく、編集をかけても美しい画像のまま残せるし。また今しばらく合唱団のビデオ編集を続けてみようかな、と思わせるほどの素晴らしいソフトでした。でも1年生の名前と人となりが分からないから、やっぱり現役生に編集は任せることにしましょう。現役の皆様、今後はよろしゅう頼みます。


9月17日

 ここ1週間で、急激に涼しくなりました。
 気候の変化に身体が付いてゆけず、体調不良で会社を休んでいる人も多いようです。
 それでも真夏に比べると格段に過ごしやすくなってきました。あっという間の秋の訪れ。

 この時期、秋の虫の鳴き声があちこちから聞こえてきます。
 その多くがコオロギです。夜になると辺り一面、コオロギの大合唱です。
 ヒヒヒヒヒヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、という高い鳴き声で埋め尽くされます。
 驚いたのは、新橋の駅前の雑踏の中でもコオロギの鳴き声が聞こえてきたこと。
 街路樹下の、ほんのわずかな植え込みの部分に潜んで鳴いているようです。
 再開発された汐留の公園はいうに及ばず。オープンしてからまだ月日が経っていないのに、ここでもコオロギの大合唱です。
 本当に恐るべき生命力の強さ。こう言ってはなんですが、ゴキブリも顔負けするくらいです。

 その割には、コオロギを見かけたとか、捕まえたという話はあまり聞こえてきません。不思議なことに。
 これもまたゴキブリ並みに人間を警戒していて、逃げ足がやたらと速いからなのでしょうか。
 色形も似ているし、実はゴキブリの仲間だったりなんかして。

 子供の頃、鈴虫を飼っていた時期があります。
 水槽の中に土を敷き詰め、生まれてから死ぬまで一生の間をその水槽の中で過ごします。
 そして秋になると、その水槽から
  リーン、リーン、リーン、
 という鳴き声が聞こえてきます。人が近づくと羽を畳みます。
 水槽にいる鈴虫は何十匹もの集団で、狭い空間にこれだけ集まると少し恐怖感を覚えたりしましたが、
 それでも秋の風物詩、鳴き声を聞くのがこの時期の楽しみでもありました。

 でも野生で鈴虫が鳴いているのを聞いたことがありません。これもまた不思議なことです。
 野生の鈴虫が鳴いているのを聞いたことがある方、メールでご一報ください。
 筆者は1年前に朝の通勤電車の車内で聞いて以来ご無沙汰しています。
 しかし朝の通勤電車で、というのがインパクトがありますね。
 どこからかかすかに、リーン、リーンという鳴き声が聞こえてきたと思ったら、おばさんが虫かごを隠し持っていたのですから。


9月10日

 わさびの話。
 7月下旬のある夜、都内で知人と3人で集まったときのことです。
 用事を済ませた後、3人で飲みに行くことになり、居酒屋チェーン店「北前そば 高田屋」に入りました。
 刺身と天ぷらを片手に話し込むこと約1時間半。
 締めはやっぱりそばでしょう、ということで「高田屋名物 板盛りせいろ」を注文します。
 板に盛られたそばは冷たく、この上なくコシが効いていて実においしいこと。
 そして一緒に付いてきたのが、わさびの根とおろしがねのセット。これが1人1つずつ付き、各自で好きなだけすり下ろしてください、というわけです。
 すり下ろしてつゆに混ぜてみると、
 いきなりつーんときました。
 うわ、これが本当のわさびというものか。
 普通、どこのそば屋に行っても、わさびは粉かチューブ入りを出したものか、というところで、実物をすり下ろして提供する、というのは見たことがありませんでした。静岡名産「わさび漬」は食べたことはありますが、粉わさびよりも味がマイルドになっていて(実は酒粕のせいか)、本物のわさび根をすったものもそれと変わらないのかな、と本気で思っていました。この衝撃の出会いは、わさびの本当の実力を再確認することとなりました。

 その出会いがあまりにも衝撃的だったので、知人の分も含めて3本のおろしかけのわさびを、紙に包んで持ち帰りました。
 冷蔵庫に保管し、刺身の醤油に、朝食のお茶漬けにと、事あるごとにすりおろして食しています。
 あれから1ヶ月以上経過しますが、冷蔵庫内での保存状態が良いのか、味や効き具合は全く落ちていません。表面は黒ずんできましたが、すり下ろした部分は新鮮そのものです。 

 ではそのわさびの根は、実際にお店ではどのくらいの値段で売っているのか。
 近くのスーパーに行って確かめると、
 1本498円
 の値段が付いていました。
 これはまた衝撃的な値段で。チューブ入りわさびの方が圧倒的に安いです。
 他の2ヶ所のスーパーも回ってみましたが、こちらはわさびの根そのものが置いていない。
 もしかすると旬の関係があるのかもしれません。でも、普段チューブ入りのわさびや、刺身のパックに付いてくるわさびで慣らされてしまうと、わさびの本当の姿が見えてこなくなってしまいます。わさびに限らず、食材が本来どこでどのように採れるのか、どのようにして食べるのか。今一度確認しておくのが、毎日食事をとる人間の義務の1つだと思うのですが....こうも値段が高いと、本来の姿や味わい方を体験することが難しくなるようで残念なことです。
 それにしても、高田屋のせいろそばが1人前400円足らずだったと思います。となると、あのわさび根はどうやって安く入手することができたのか。きっとスーパーには流れないスペシャルルートがあるに違いないでしょう。

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