メゾン 道の果て

9月30日

 連休の1日を使って、高校時代の仲間と久しぶりの日帰り小旅行に出かけてきました。
 仲間とは毎年年末に集まって忘年会をしていましたが、3年前に会ったのを最後にコロナ禍で会う機会を失っていました。小旅行自体もすっかりご無沙汰していて、メンバーと旅行に出るのは8年前、真冬の上信越一周以来となります。
 今回の目的地は房総半島。小湊鉄道といすみ鉄道を乗り継いで房総の里山を横断するルートです。この週末、台風が立て続けにやってきて1回順延したものの、日程変更後もまた台風が接近するという予報のもと、天気の様子をうかがいながら決行しました。

  当日の朝は時折シャワーのような雨が降ったり止んだりするあいにくの空模様。豪雨や車輌故障(先日実際にあった)で運休のないよう祈りながら集合の地へ向かいます。
 集合は千葉駅から内房線に乗って5つ目の五井駅。ここを起点とする小湊鉄道に乗車します。
 五井8:52発の普通列車はキハ200形211,212の2両編成。ともに昭和50年生まれで、小湊鉄道の中では新しい方ですがそれでも経年47年と、他の鉄道会社ではとっくに現役引退している長寿車です。ロングシート通勤形の車内には2両で50人ほどの乗客があり、ちょっとしたにぎわいとなっています。
 五井を出た列車は昔の国鉄形と同じ、懐かしさを覚えるエンジン音を響かせて水田地帯を走り抜けます。途中の上総牛久までは比較的本数の多い区間ですがそれでも1時間に1〜2本、政令指定都市千葉の近郊なのにあまり便利とはいえません。しかも各駅の周辺は空地や農地だらけで寂れ放題。駅から遠く離れた丘の斜面にびっしりと住宅が建っているのと対照的です。駅から0分をうたい文句に各無人駅周辺を開発し、30分に1本列車を運行すれば利用者数ももっと増えていると思うのですが。小湊鉄道もお金がないのか、車輌もつい最近JR東日本から中古車キハ40を購入するまで40年以上入れ替わりがなく、保線も行き届いていないようで走るたびに右に左に大きく揺れます。駅舎も昔のまま、他のローカル私鉄では当たり前となっているワンマン運転もなく、無人駅ごとに車掌が走り回って集札しています。
 上総牛久からは里山に分け入る区間。本数も少なくなります。途中の里見では地元有志による軽食やグッズの販売が行なわれていました。

上総中野にて。
左がいすみ300形 右が小湊キハ200形
 終点の上総中野に10:12着。20分の接続でいすみ鉄道に乗り継ぎます。新型車輌いすみ300形301の単行。五井から乗ってきた約50人の乗客のほぼ全数がこの列車に乗り継ぎます。列車が出発すると程なく土砂降りの雨に変わりました。
 約20分で大多喜に到着、ここで一旦下車します。雨は上がり急に晴れ間がのぞいて少し蒸し暑いです。
 本日の最大の目的は国鉄形気動車キハ28,キハ52に乗車すること。大多喜11:18発上総中野行きとその折り返しの列車にこれが運用されます。
 キハ28,52形は国鉄からJR初期にかけて全国各地を走り回っていた形式で、自分自身も旅先でよくお世話になりました。経年が進んでJRからはすべて引退、いすみ鉄道に残っている2両も動態保存的に使用されていて、キハ28 2346は昭和39年製の58歳、キハ52 125は昭和40年製の57歳。このうちキハ28の保守が費用と部品入手の両面から困難になり、11月で定期運用から引退することになったので、動いている今のうちに乗っておこう、と今回の小旅行が急遽計画された訳です。
 引退間近ということで混雑が予測されましたが、台風接近予報のせいか思っていたほどではなく、乗客の全員が座席にありつけました。ただキハ28はレストラン列車に使う都合でボックス座席の片側2人分に大型テーブルが取り付けられ、座席定員が半分に減らされているのは残念です。レストラン列車も終了したので復元して座席数を増やし、今後の乗客増に備えてほしいと思います。
 大多喜から上総中野まで来た道を戻ります。緩い上り勾配を、エンジンをうならせながら進みますが、小湊キハ200と同じタイプのエンジンなのに哀愁を帯びた音がしない。変速をかけずに低速運転に終始したからなのでしょうか。それでも往復約40分、両方の車輌に乗り昔の旅行気分を十分に堪能することができました。中吊り広告に国鉄時代のポスターを数々飾っていたのも良い演出でしたし。

左上:キハ28 2346と、上:その車内
左:キハ52 125

(後編へ続く)


9月23日

  庭の花の歳時記。真夏に開花する植物はあまり多くなく、2ヶ月ぶりの写真追加となります。植物にとっても夏の暑さは過ごしにくい環境なのでしょう。

    
ヒマワリを小さくしたような黄色い8弁花の植物。6月にも似たような植物を紹介したことがありますが、類似の花が非常に多く検索に苦労します。
 この植物は三角形の葉を持つのが特徴です。調べた結果、「ルドベキア」という名前に当たりました。さらに8弁花から、その中でも「タカオ」という品種に分類されるようです。
タカサゴユリ(高砂百合)
 一般的にテッポウユリと呼んでいますが実はテッポウユリとは別物で、テッポウユリは6月に開花するもの。自宅に自生するのは正しくはタカサゴユリと呼び8月以降に開花、葉の形がテッポウユリより細いそうです。勉強になりました。
 自宅では夏になるとあちらこちらの鉢から勝手に茎が伸び、やがて立派な花を付けます。放っておいても元気に育つ、手のかからない草花です。
タマスダレ(玉簾)
 こちらも9月になると茎を伸ばして、6弁の白い花を咲かせます。以前紹介したサフランもどきと同じゼフィランサス属で、花の形も葉の作りも似ています。
ハナスベリヒユ(ポーチュラカ)
 9月6日の回で登場した雑草スベリヒユの仲間で、園芸用に花が大きくなった品種です。黄色,赤桃色,白の八重咲きと株ごとに色とりどりの花を付けます。天候不順のときは丸っこい葉を先端に向かって閉じてたたむような格好になります。
松葉牡丹
 以前登場した松葉菊の仲間と思いきや、実はハナスベリヒユと同じ系統で、葉の形が太い針状に変化したものらしいです。云われてみれば茎が赤紫色をしているなど確かに共通点がありますが、にわかに信じがたいです。
 花は八重咲きで、自宅にあるのはご覧の白や黄色の他、橙色もあります。

9月16日

 今年のプランター野菜作りを振り返ってみます。


 昨年同様、小松菜,オクラ,カボチャ,きゅうり,西瓜といった面々です。
 カボチャ,西瓜は今シーズン、大きなプランター1つに1株植えとしゆとりを持たせました。特にカボチャは茎の途中から中間根を出すことがあり、地を這わせるスペースが必要と考えました。プランターや小鉢は使っていないものを総動員し、その結果庭が一層鉢だらけになってしまっています。ゆとり生育のおかげで昨年よりはのびのびと育っているようでしたが、咲ける花は雄花ばかりで、今年は地植え1株を含めて1つも実を結ぶことができませんでした。
 きゅうりは種4粒のうち芽が出たのが1本しかなく、この1本を地植えにしてきましたが、カボチャとの競争に負け、こちらも実を付けることなく9月初に枯れてしまいます。
 西瓜はプランターに植えた3株で1個ずつ、手のひら大の実がなりました。しかし収穫したのは1個のみ。残りのうち1個は生育途中で変質し、1個は雨が降って実にひびが入ったところに蟻が侵入し、気づいたときには大量の蟻の餌食になってしまいました。
 オクラだけは8月以降、順調に花を付けて実が育っています。葉をアブラムシや蟻にたかられても蝶の幼虫に食われても、実には影響ありません。ただ収穫のタイミングを間違えて放置すると固い筋が入って食感が著しく悪化します。

  9月中旬に入り、実をもぎ取った後の西瓜は急速に涼しくなった気候の変化について行けなくなったのか、一気に元気がなくなります。カボチャは今も生きながらえ、時々黄色い大きな花を付けています。中間根から水分などをとれるようにしたのが元気の秘訣のようで。
 先ほどのプランターの写真で白い不織布で覆っている鉢に植えているのが小松菜です。春まきの苗を1ヶ月半ほどで収穫した後、真夏の時期は害虫に芯を喰われるのを警戒し栽培をストップしました。秋を迎え8月下旬から種まきをして栽培再開。不織布で守られながら今のところは順調に成長しています。

 プランター野菜は毎年が実験です。豊かな土と肥料があれば農家の畑のように大きく成長し優等生の果実がとれますが、それだと面白みが少ない。限られたスペースで、土もそこら辺のをすくって、肥料も安くあげてと、数多くの制約の中でどれだけ成長できるかを見届けるのがプランター野菜作りの魅力と思います。反省点はまた来年に生かす。何年もかけて取り組む大人の自由研究です。


9月6日

 夏になると道端でよく見かけるこの雑草、「スベリヒユ」といいます。
 緑色の丸っこく厚い葉と赤紫色の茎が特徴で、触感も独特です。
 繁殖力旺盛でどこにでも芽を出して成長します。花は直径5mmにも満たない非常に小さなもので可愛げがありません。そして種を付けるとあちらこちらに飛んでいって来シーズンの大繁殖へとつながってゆきます。

 雑草として駆除対象となるスベリヒユですが、かなり昔に見たテレビ番組で、
 「山形県民は雑草スベリヒユを『ひょう』と呼び、食用にする」
と云っていたことを思い出し、実践してみました。
 自宅庭では他の雑草群との競争に敗れてほぼ見かけないですが、近所の道端、田畑の畦道、至るところで茎を伸ばしています。農薬がまかれていないエリアから数株拝借します。
 根を切り落として良く洗い、小鍋で何分か茹でます。ほうれん草や小松菜のお浸しをさっと作るような感じです。味付けはシンプルに麺つゆ少々で。

 

 食感は触感と同様に独特で、葉や茎にしゃきしゃきした歯ごたえを感じますが、少し茹でただけでもごわごわ感はなくなり、程よく柔らかくなりました。わずかな酸味がアクセントになります。

 ネットで検索すると、山形県では冬場の保存食としてもスベリヒユを活用しているらしいです。一度茹でたスベリヒユを天日干しし、調理のときにまた戻して、ということをしているようです。
 雑草や野草を食べるという行為に戸惑い半分、興味半分ですが、食用となる野草類を知っておくことは、いざという時に役立つかもしれません。

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